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ゲーム感想:『ライフ イズ ストレンジ』

ストーリー良し、雰囲気良しの良作品でした。手軽にプレイできることもあって、オススメ。

!!ネタバレ注意!!

以下に続く感想は、ストーリーの核心に関するネタバレを含みます。

!!ネタバレ注意!!


ゲームである必然性がある設定とストーリー

「時間を巻き戻す能力を持った主人公を操作する」というのは思った以上に「選択肢を選ぶゲーム」にあっていました。 これのおかげで、ある選択肢を選んだ瞬間の主人公とプレイヤーの知識レベルが一致するんですよね。「この結果が得られることを知った上で、この選択肢を選んだ」というのが、主人公とプレイヤーの共通認識になるわけです(*1)。単純に、主人公としての選択を何回も考えて繰り返せる、という事実と合わせて、主人公への感情移入度、その後のストーリー展開全体に対する責任感、没入感のアップにかなり貢献しているシステムだと思いました。

そして、そうやってマックス(主人公)として多くの選択と経験をした上で「最後の選択」に辿り着くからこそ、あの瞬間のやるせなさがあるというものです。

自分の時間と思考(と少しのお金)を投資してプレイに臨んで良かったと思えるゲームでした。

全てはクライマックスのために

クリア後にちょっとググッて他の人の感想を読んでみたところ「結局エンディングは最後の選択肢だけで決まるのがな…」という意見を見かけました。確かにこれはもっともな気がします。「せっかく”最善”にみえる選択肢を選んできたのだから、もう少しなにか報われてもよいのでは」とかとか。

が、まぁしかし、個人的にはこのゲームに関してはこれで良いのではないかと思います。このゲームにおける「選択」の役割は、ストーリーを分岐させることよりもむしろ「最後の選択」に挑むまでにマックスへの感情移入度を高めることでしょう

最後の選択とエンディング

初回プレイ時の最後の選択肢では少し悩んで「クロエを犠牲にする」を選びました。クロエがもっと「良い子」だったら、もっと選択に悩んだかもしれません…。正直なところ、クロエに対する印象はその時点までプレイしてもそこまで良くはなかったんですよね。自分本位で、マックスの能力を過度にあてにしていて。捻くれてしまうまでの経緯とか、もう一つの世界線でのやり取りとかで、本質的には良い子、というのはわかるのですが、それまでのイベントで培われた他のアルカディアベイの住人とクラスメートの印象の総和と比較するとちょっと見劣りしてしまいました。

アルカディア・ベイを犠牲にする」と比較して「クロエを犠牲にする」の方が明らかにエンディングに力が入っているような気がするので、もしかすると、「クロエを犠牲にする」を選ばせるのが開発者にとって本命で、それゆえにクロエを良い子にし過ぎないよう意識して調整していたのかなーと思っても見たり。

「超良い子な親友 vs 糞みたいな街」だと、それはそれで何の葛藤もなく親友一択になってしまいそうですが、この辺りのバランスの取り方は難しそうですね。

全てを救う選択はあるべきか

ないべきでしょうね。隠しルートとしてですら、それが存在してしまうと、片方を選んで救う選択肢はどちらも「ハズレ」、「間違い」、「失敗」と解釈されてしまい、選ぶ葛藤がなくなってしまいますから。

正しい選択を選んだという達成感を生むかもしれませんが、このゲームに関しては選択自体が特殊能力によってやり直せるということもあるので、主人公のチート感が際立ってしまい全体的に良くない効果を生み出すだけに思います。

その他のメモ

  • 操作性は普通~良いくらい。完璧ではないけれど、ストレスが溜まるような落ち度はあまりない。欲を言えば「選択肢までの時間巻き戻し」はもっと速くてよかった。
  • 英語音声/英語字幕、日本語音声/日本語字幕をいつでも設定から切り替える
  • クリア後はエピソードとチャプターを選んで再開できる

さて、英語音声/英語字幕でプレイして英語の勉強でもしようかな。

*1:もちろん、ゲームを1周クリアすると、その選択肢の長期的な影響はプレイヤーのみぞ知る、ということにはなりますが、そこはさすがに仕方がないところ。