読書メモ:『ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!』
「人生というゲーム」にちゃんと向き合うことになった時、ゲーマーの人たちの持っているポテンシャルってのはかなりのもんなんじゃないかとは思うんです。
という言葉が出てくる第一回から始まって、川上量生氏と、ゲーマーやそうでない人が対談形式でいろいろ語る本。
世代が違うので、登場する人たちのゲーマーとしての人生を読んでもいまいちピンとこないなどはあったものの、その辺りはポンポン飛ばしつつ時々出てくる面白い考えを拾い集めて読みました。
ネット上(ゲーマーはもっと経営者を目指すべき! - 4Gamer.net)でほぼ全ての回が読めるものの、本では 10.5回として、「政治的な内容は取り扱わない」という理由で 4Gamer に掲載されなかった麻生巌氏の回が収録されています(沖縄周りの話が出ていました)。タイトルは「経営者こともっと社畜になるべき」。考え方のスケールの大きさを思い知らされる面白い回だったので、一読をオススメします。
ただし、逆にラスボスとなった任天堂の岩田聡社長の回は本には収録されていませんので、本でこの企画の事を知った方はぜひサイトの方でお読みください。
- 作者: 4Gamer.net編集部,川上量生
- 出版社/メーカー: ブックウォーカー
- 発売日: 2015/05/21
- メディア: Kindle版
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回毎に人もテーマが違うので、普段書いている3ポイントメモ的なものはなしで。
いずれ、気になったものについて回毎に書くか何かしようと思います。
「ゲーマーが経営者を目指すべきか」というタイトルの問いについては、そもそも「経営者なんてやるもんじゃない」という見解のような…?
能力の面で言えば、対象(ゲーム)を研究し、上を目指すために工夫する(攻略法を生み出す)思考力を持った人であれば、現実社会を相手にするきっかけを得た時に成功する可能性はある、というところでしょうか。
お言葉メモ
気になった言葉などを、回に関係なく羅列してます。
メモにするため、要約や意訳をしているのであしからず。
- ニコニコ動画は地の利を活かしてゲリラ戦的に Youtube に対抗
- 事業を起こすときは、自分の武器に「なり得る」ものを考える。ただ、その武器は現時点で装備できなくても使えるようになる見込みがあればよい
- 長期的にサービスを成長させるには、成長に必要なエネルギーを外部(ユーザー)から得られるような状態を目指すべき
- そうでないと維持コスト(エネルギー)を自分たちで支払うことになる
- サービスを有料にするということは、成長に必要なエネルギーを増やすことになる
- お金を取る→ユーザーは離れる
- 説明できる要素、お金で解決できる分野では競争が発生・激化する
- 多くの人はネットを情報のソースとして使用するに留まらず、それを鵜呑みにして判断を委ねてしまっている
- ネットは"外部記憶装置"どころか"CPU"と化している
- ネットからみた人間はもはや並列に動くCPUの一部ではなくリレースイッチか何か
- 多くの人が「理解しているもの」に芸術性(コンテンツ性)は帯びない
- 現代のコーヒーカップは、機械で大量生産されていると知っている現代人にとってはただのモノでも、昔の人にとってはその精巧自体によって芸術作品と思われたはず
- 日本の「教育水準の高い暇人がネット空間に多い」という特徴は他の国にはない資産になり得る
- ネット広告のビジネスモデルから見ると、素晴らしいコンテンツの10万PVと質の悪いコンテンツの10万PCの価値が変わらない
- コンテンツのページのPVと、コンテンツを紹介するページのPVの価値も変わらない
- かつ、紹介するページの方がアクセスが多くなるにきまっている
- コンテンツのページのPVと、コンテンツを紹介するページのPVの価値も変わらない
- コンテンツは「よくわからない領域」がないと「終わった」と思われてしまう
- ニコニコ動画のコメントは「ウェブサービスにおけるコミュニケーションに意味(実用性)はいらない」ということを証明した
- 実用性などではなく、もっと人間の根源的な欲求みたいなものを刺激している
- プライベートと仕事の境界がないというのは一番幸せ
- 「起業家になりたい」=「なんでもいいから成功して、自分がボスになりたい」
- 制限時間のあるゲームは良くない。現実では、1つのことをどれだけ長時間考えられるかがとても大切になる
- 言い訳ができる製品開発:売れなくても「性能は上がったんですけど」、「軽くなったんですけど」という言い訳ができてしまう、一見すると開発(者)にリスクのない製品開発は合理的に見えても先は明るくない
- リスクを取る経営者は、冒険好きなのではなく、危機感を原動力としている
- 難しさや面倒さを極力排除して、勝利の快感だけを与えるのは是か非か
この本はなかなか長いので、川上量生氏の考えをもっとコンパクトに読んでみたい、というのであれば『ニコニコ哲学』がオススメです。
- 作者: 川上量生
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2014/11/14
- メディア: Kindle版
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