書評:『コピーキャット - 模倣者こそがイノベーションを起こす』
ビジネス戦略としての「模倣」の有効性を、費用対効果という具体例を出しながら詳しく語る本です。ビジネスやお金の儲け方に興味がある人なら読んで損はありません。
- 作者: オーデッドシェンカー
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2013/04/12
- メディア: Kindle版
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「最高のアイディアがすべて自社で生まれるわけではない」
ここではこの点だけ紹介しておきますが、戦略として上手く模倣を活用するためにまず必要なことは、模倣をイノベーションと同じように高く評価して奨励する意識を作ること。相手が自分よりも有能であると認め、変わろうとする意志が大事だ、とのことです。
見出しに挙げた言葉はP&Gの元副会長より(少し改変)。
敬意を持って他社から学び、表面的な模倣に留まらずにコンテクストを徹底的に分析して取り入れることで、模倣は次のイノベーションに繋がるとされています。
考えてみると個人の芸術家や技術者が先人から学ぶプロセスと変わりませんね。形だけの真似で利益を挙げようとする企業が横行しているがために、模倣そのもののイメージが良くない風潮がありますが、その流れに囚われてはいけないということでしょう。
主に例に上がるのはアップル、トヨタ、ペプシコ、P&Gのような大企業ですが、もっと規模が小さい会社や個人にも参考になるのではないかと思います。
7章と日本語版の特別寄稿に本書の主張が短くまとまっているので、その部分だけ読んでみるのもオススメ。
この本から知った、Not Invented Here 症候群(Wikipedia)という自社・自グループで生まれたものを重視してしまうという傾向は興味深い内容だったので近いうちにもう少し追ってみます。
追記:NIH について書きました