ゲーム感想:『ざくざくアクターズ』 - 傑作群像RPG
終わってみてのまず一番の感想は「これぞフリーゲーム」。「フリーゲームとは思えないクオリティの高さ」という方向性ではなく(クオリティが低いわけではもちろんないです)「フリーゲームならではの熱量の大きさ」が凄まじく、よく作り込まれていて、作者の愛とか熱意を感じられました。
調整不足や粗を感じる部分が全くないとは言えないのですが、十二分に許容できる範囲で、全体的にはとても楽しかったです。ストーリークリアまで、いろいろ寄り道をしつつでプレイ時間は 100時間程。
思ったことを雑にメモします。若干ネタバレがあるのでご注意を。
ストーリー・キャラクター
最終的には30名近いキャラクターが仲間になることもあり、一部のメインキャラクター以外は、仲間になる時のエピソード + α、サブイベントで少しくらいしかラストバトルに繋がる本筋のストーリーには絡まないものの、だからと言ってそれぞれ印象が薄いということはあまりなく、「なるほどこういう構成・ストーリーの組み立て方もありなんだなー」と思いました。
- 非ヒト型を含み、リアル調な絵柄ではないのでデザイン上の被りはほとんどない。覚えやすい。
- デーリッチ(主人公)の言動がたまに普段の精神年齢とかけ離れるものの、何となくそれが許せてしまう。これもリアル調ではないデザインのせい?
- キャラクターにエピソードがほぼ1対1で紐付くので、エピソードの方も忘れにくい。
一方で、途中まで、もしくは最終的に敵対関係にあった人物、組織の描写に物足りなさを感じるなど、1つ1つのエピソードの独立性が高くなっている分、メインのストーリーの連続性や濃さには若干の難点も感じました。とは言え、きちんと印象を持った仲間を大勢揃えてこそのあのラスボス演出なので、これは取捨選択の問題なんでしょうね。
実際あのラストバトルの演出は素晴らしかったです。
ストーリー展開上は仲間にする必然性が感じられないキャラクターを仲間にしないと次のマップに進めない、といった点が少し不自然に強制されていた点は、もう少し自然にできたような気がするので、そこは少し勿体無かったかと思います。
個人的な特にお気に入りキャラはこたつドラゴンとメニャーニャ、ゼニヤッタ、ドリントル、ニワカマッスル。
システム
バトル
8人制はボス戦で多彩な戦略を練る余地がありボス戦などは楽しい一方、オート戦闘の AI の微妙さも相まって雑魚戦は手間になることもありました。前衛と後衛の入れ替えはオートで行ってくれず、少しでもダメージをくらっていたらすぐに回復するので、十分にレベル差がある敵とでないと戦いが長引くことがしばしば。チュートリアルでローズマリーが「敵を倒すことを優先すべき」と教えてくれるのですが、AI はその通りにはしてくれず…。これは RPGツクールでできるシステム的な制限なのかもしれません。
(そういえば、チュートリアルを全て見終わった後にローズマリーが「見てくれて有り難う」と言って回復アイテムをおまけにくれるのですが、これってちょっと良いなって思いました。単にアイテムをくれて得した、というよりも、プレイヤーをもてなそうとしてくれている気持ちが感じられたというか、そんな感じの意味で。)
あとは即死を含む状態異常で一気にパーティーが崩壊して事故死する危険がままあったり、それなりのレベルがあっても一人に攻撃が集中すると割りと簡単に死ぬなど、運要素は強めの印象です(状態異常については、耐性のあるキャラクターや装備を使うことで対策できないわけではないのですが)。8人制システムやオープンパンドラを活用する余地が生みだすために意図的にこういうバランスになっている可能性はありそうですが、たまに理不尽を感じることも。
スキル・ドーピング・道場・会議・大学・お土産・etc…
多い!やりこみ要素的な意味合いは強いですが、色々なことができて、どのキャラクターでも強くできる、ミニイベント的なものが用意されているというのは、キャラクターが大勢いるこのゲームには合っていたと思います。メインストーリーだけだとどうしても一部のキャラクターにしかスポットがあたりませんからね。
アイテムを使えばどのキャラクターでも好きなスキルを習得できる(キャラクター固有技を除く)、パラメータを強化できる、というのは設定上のキャラクターの強弱と実際の強弱が乖離する恐れがあるので諸刃の剣となる側面はあると思うのですが、キャラクターに愛着を沸かせることが第一で、設定上の強弱があまりストーリーに影響しないこのゲームではほとんどメリットしかなかったと思います。
そしてこのあたりの作り込み具合に作者の熱量を感じました。なんだかんだでボリュームはパワー。
よいゲームに出会えてよかったです。
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