読書メモ:『星を継ぐもの』
月面で発見された、正体不明の5万年前の白骨死体の正体を巡る物語。チャーリーと名付けられたその死体は人類の祖先なのか、異星人なのか、なぜ、どのようにして彼は最期の時を迎えたのか、彼が生きた文明はどこに存在し、その後どうなったのか。
- 作者: ジェイムズ・P・ホーガン
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2014/12/12
- メディア: Kindle版
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先が気になるのに身を任せて一気に一日で読了してしました(仕事が休みって素晴らしい)。
まさにSFにして本格ミステリーですね。一つの謎を解明する説は別の矛盾を生み、新たな発見は新たな謎を提示する。それを繰り返しすつつ、最後にそれらの謎を解明する一つの解に辿り着き、「星を継ぐもの」というタイトルの意味が明らかになる。この最後に繋がる感じが快感でした。
登場人物達が、癖はあるにせよ基本的に善人(?)なのも良いです。皆自己の利益ではなく真実の追求なりプロジェクトの推進を第一としていて、立場や考え方の違いからくる人間同士の関わりあいの面白さはありつつも、足の引っ張り合いや余計な駆け引きなどはなく、純粋にチャーリーとそれに関連するの謎の調査・解明でプロットが進むので無駄がない印象を受けました。
人が死ぬ、死にそうになる、立場が危うくなる、恋人や友人との間に亀裂が入る、そういった場合によっては精神的に消耗するエピソードとは無縁で純粋に大きな謎を楽しめる、万人にお勧めできる優れた作品だと思います。