読書メモ:『人と企業はどこで間違えるのか?』
3行まとめ(?10個のエピソードの中の3つから心に残った点を選択)
- 結局のところ、消費者こそが市場の唯一無二の独裁者であり、企業が、自分の都合の良い製品を消費者に押し付けることはできない
- 企業は、バランスを取りつつ重要な社会的関心事について立場を表明し、与えられた影響力を行使するべき
- 相互理解のない者同士では、同じ言葉が別の意味に解釈されることで、クリティカルな情報が伝わらないことがある
- 作者: John Brooks
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2015/01/05
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
だいぶ前に、ビル・ゲイツ氏が絶賛して有名になったビジネス書です。
何を、どこで、どうして間違えたのか、どうすれば良かったのか、という分析は明記されておらず、なかなか謎な邦題に感じました。
原著タイトル『Business Adventure』の方を素直に受け取って、ビジネスの物語、という扱いの方がピンときますが…物語を読んだ上で、自分で考えて、副題にある「成功と失敗の本質」を汲み取って欲しい、という訳者の意図でしょうか?
10章の中で面白かったのは、フォード社の新車開発、ゼロックスの社会に対する姿勢、GEのインサイダー事件関係者の供述、企業秘密。
以下、各章の話の大筋なり気になった点のメモ。
- 伝説的な失敗:フォード社エドセルの物語
- 公正さの基準:テキサス・ガルフ・サルファー社インサイダー事件
- 何を持ってインサイダー取引とするか、情報はとの段階で機密扱いが解かれるのか
- ゼロックス、ゼロックス、ゼロックス、ゼロックス
- 財政的に非常に厳しい中での研究開発の継続・開花
- 国連への支援:「企業は社会の重要な問題について、立場を表明することから逃げてはならない」
- もう一つの大事件:ケネディの死の裏側で
- 証券会社・銀行による投資家救済
- コミュニケーション不全:GEの哲学者たち
- 話し手と受け取り手の間に相互理解がなければ何度命令を繰り返しても意味が無い
- 上司は、自分に損害がないのであれば部下の不正を積極的に正すインセンティブはないのではないか(利益が上がればそれでよし、部下が罪に問われても知らなかったで済ませられる)
- 最後の買い占め:メンフィスの英雄、かく戦えり
- 個性的な起業家のウォール街との闘争
- 二つめの人生:ある理想的なビジネスマンの記録
- ニューディール政策の中心的役割を果たした公社から民間企業への転身
- とても細かく日記を残しているのが印象的
- 道化の効能:いくつかの株主総会にて
- 株主総会で役員を問いただす役割をアクティビスト(道化)に任せて良いのか
- 束の間の大暴落:永遠のホセ・デ・ラ・ヴェガ
- 結果的に投資信託は株価を安定させる力として作用した
- 営業秘密の変遷:ダンス、クッキー、宇宙服
- 個人の職の自由と企業秘密の保護について