not yet

本やゲームの感想など

ゲーム感想:『Detroit: Become Human』

社会で労働力として普及していたアンドロイドが突如として自我を持ったらどうなるか、を軸にしたストーリー。

リアル系のグラフィックスのゲームを久々にやったこともあり、最近のゲームはこれ程のことができるのか、と驚きました。表情とモーションは素晴らしかったです。

システム的には会話の選択肢を選んだり QTE をこなす系統で、QTE があまり好きでない自分にとっては微妙なところもありましたが、ゲーム中ムービーのようなシーンが多くを占める中没入感を出すには仕方なさそうです。選んだ選択肢や QTE の成否による分岐が非常に多く、何周もできそうでした(自分は一周しかしていません)。

期待していたストーリーはというと、見た目と動作からは人間と全く区別できないレベルの認知能力や運動能力を会得しているアンドロイドが普及している一方で、その他の技術や社会の成熟度がそれと比較すると何世代分も遅れているように見え、背景となる舞台全体のリアリティに欠けている印象です。リアリティのあるグラフィクスで具体的に街並みが描かれていると、どうしても細かいところが気になってしまいます。

人型アンドロイドが普及する素地が整っているようには見えない社会に、オーバーテクノロジーの塊が大量生産・消費されているという状況がどうにも腑に落ちず、アンドロイドが最初から本当に本物の人間にしか見えなかったこともあって、「アンドロイドが自我を持ったら」というテーマを感じることができずに終わってしまいました。

人種差別の問題をアンドロイドを使って表現した、などといった比喩的な意図があったのかもしれませんが、少し残念です。

小説感想:『君の膵臓をたべたい』

結構前に名前をよく聞いた小説だったので読んでみました。

読みやすく、読んでいる間は普通に楽しめましたが、特筆するような印象は特になしです。

ヒロインから主人公への好意の背景があまり理解できず、主人公に都合がいいなぁ、と少し冷めた感じで読んでしまったのが駄目だったかもしれません。

小説感想:『死者の代弁者』

エンダーのゲーム』の続編。舞台は3000年後ではあるものの、主人公は引き続きエンダー(星間旅行を繰り返していて、本人は前作から20歳くらいしか年を重ねていない)。

新たな知的異星種族の発見・接触を発端としたある種の殺人事件とそれにまつわる人間関係の調査、というミステリー的な要素もありつつ、異種族や隣人に対する理解・寛容・敬意の大切さについて語られています。

読みやすく面白い傑作でした。

「エンダーのゲーム」から読んでいると、終わりの

「もう死んでもいい。ライフワークをすべてやり遂げた」

「わたしもよ。だからこそ、いまから生きはじめるんじゃないかしら」

というセリフが感慨深いです。

小説感想:『ゴリアテ-ロリスと電磁兵器-』

ゴリアテ-ロリスと電磁兵器- (ハヤカワ文庫SF)

ゴリアテ-ロリスと電磁兵器- (ハヤカワ文庫SF)

リヴァイアサン: クジラと蒸気機関』シリーズ最終巻。ニコラ・テスラ編(?)。

シリーズ全体を通しての感想になりますが「安心して読める」という雰囲気で軽すぎず重すぎず、登場人物も基本的に悪い人はいませんでした。

戦争の描写も、主人公たちが直接激戦に参戦することはないので絶望感のある場面はなく、適度にワクワクできる緊張感がある、という感じ。

結末や謎が残る部分について少し残念に思う部分もありましたが、面白い設定を舞台にして『少年と少女の冒険譚』としての期待に応えてくれる、良い作品でした。

小説感想:『ベヒモス―クラーケンと潜水艦―』

ベヒモス―クラーケンと潜水艦― (ハヤカワ文庫SF)

ベヒモス―クラーケンと潜水艦― (ハヤカワ文庫SF)

リヴァイアサン: クジラと蒸気機関 』の続き。イスタンブール革命編。

前作の続きとして順当に面白かったです。

ゴリアテ-ロリスと電磁兵器-』に続きます。全体的な感想はそちらを読んだあとに。