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本やゲームの感想など

ほぼプレゼン資料の作り方:『Graphic Recorder ―議論を可視化するグラフィックレコーディングの教科書』

何となく表紙に惹かれて読んでみましたが、正直なところ微妙でした。

Graphic Recorder ―議論を可視化するグラフィックレコーディングの教科書

Graphic Recorder ―議論を可視化するグラフィックレコーディングの教科書

序盤は「ふむふむ、なるほど」という感じで読んでいましたが、実践的な部分(本書でいうところの Stage 2 以降)進むにつれて「なんだかグラフィクを使ってもあんまりわかりやすくなっていないような…」という感じがしてきました。

記録の元の全体像をもともと知っている人(会議の参加者など)が復習のために参照する、という用途には適しているようにも思いましたが、その用途にしても個人的には詳細さや厳密さを欠くことが気になります。記録とは、記憶しきれない部分を補完するためのもので、そこで厳密性を失うのは意味が無いのでは。グラフィック(イラスト)というのはどうしても多義的になりますし。

もちろん厳密な(文章による)記録との併用はできると思いますが、あまりいい感じの例が本書中に見当たらず、レコーディング(記録)というより、単にプレゼンテーションにグラフィックを使っていた、という印象で、「グラフィックレコーディング」という耳慣れない言葉に期待したような新しい知見はありませんでした(記録も未来の関係者に対するプレゼンテーションですが、その役割ならではの知見がなかった、という意味です)。

小説感想:『さよならを待つふたりのために 』

ヘイゼルは16歳.甲状腺がんが肺に転移して,酸素ボンベが手放せないまま,もう三年も闘病をつづけている.骨肉腫で片足を失った少年オーガスタスと出会い,互いにひかれあうが…….生きて人を愛することのおかしみや喜びをまっすぐに描き,死をみつめながら日々を送る若者の生々しい感情をとらえた,傑作青春小説.

ヤングアダルト小説というものに分類されるらしく、それがどんな分野なのかはよくわかりませんがたしかに中学生くらいにも十分薦められそうなレベルで読みやすかったです。

かといって幼稚・子供騙し、ということは全くなく、登場人物たちの思考、セリフ回しも知的な感じがして(訳文にも不自然なところは全然ありませんでした)、ヤングアダルトに限定せず万人受けしていることにも納得しました。

たまにはこういう王道的な「感動モノ」に手をだしてみるのも良いものですね。

さよならを待つふたりのために (STAMP BOOKS)

さよならを待つふたりのために (STAMP BOOKS)

???:『ニューダンガンロンパV3 みんなのコロシアイ新学期 超高校級の公式設定資料集』

意外性のある結末で様々な反響を呼んだ『ニューダンガンロンパV3』の公式設定資料集。

メインコンテンツはキャラクターや背景、オシオキのグラフィックス(完成版とは異なる草稿を含む)だと思いますが、巻末の開発者インタビューに本作の結末についての想いや発売前のユーザーの反応の予想と実際のズレ、デスゲーム系の作品全般についての考え、今後のダンガンロンパへの意欲についても語られていて、これだけでも読み応えのあるものでした。

あの結末の真実はこうです、と明示しているわけではありませんが、これを読むとなんとなく答えがわかるような気はします(自分の当初の考察は間違っていたかな…)。

結果的に批判的なレビューも多く、「大人気シリーズの続編」として物議を醸す作品にはなりましたが、それも含めて考えさせられることもあって個人的には好きな作品です。

今後もチームダンガンロンパの方々が驚きと感動をもたらす作品を作ってくれることに期待しています。

平凡な日常に幸せを感じる方法:『Joy on Demand』

Google のエンジニアが書いた瞑想本として有名な『Search Inside Yourself』(SIY) の続編。見かけた時(この記事を書いている今も)約90%OFFの250円弱というセール中だったのでとりあえず買って読んでみました。

SIY よりもより手軽に日常に取り入れられる瞑想(的なアクティビティ)が紹介されています。禅の用語や逸話に若干のわかりにくさを感じる部分はありましたが、実践的な部分に関しては平易で読みやすかったです。

個人的なお気に入りは “Happyness ray gun"。"Loving kindness” という、簡単に言えば他人の幸せを願う形の瞑想を「相手が幸せになる光線銃」を持っているイメージで行うもの。ちょっとした遊び心とふざけた感じが良いですね。

Joy on Demand: The Art of Discovering the Happiness Within

Joy on Demand: The Art of Discovering the Happiness Within

小説感想:『ノンストップ! 』

導入は良かったもののそれ以降は可もなく不可もなく、良作と呼ぶには何かが足りないという印象でした。

「ノンストップ!」(原題は Relentless なので、絶え間なく、とか容赦なく、というイメージ)というタイトルの通りテンポよく話は進み新たな謎が出てくるので読ませる力はあるものの、終わってみれば驚くような逆転劇や真相はなく、ちょっと期待はずれで残念な感じです。

加えて、主人公・味方・敵、どの陣営のキャラクターにもあまり魅力を感じられませんでした。これも悪くはないけど良くもないというか、特徴が足りないというか、(小説には)よくいそうというか。

読んでいる間はそれなりに楽しめましたが、あまり心に残るものはありませんでした。

ノンストップ! (文春文庫)

ノンストップ! (文春文庫)