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小説感想:『エンディミオンの覚醒』

ハイペリオン』シリーズ四部作第四部、完結編。

上巻辺りまでは第三部『エンディミオン』に近い主人公勢 vs 権力という冒険譚的な構図で話が進みますが、その後段々と、宗教的・思想的な話が増え、SF よりはむしろファンタジー的に思える能力の開示も交えてこれまで三部かけて張ってきた伏線を回収していく種明かしパートに入ります。

ハイペリオン』の設定の一部に否定が入るなど、種明かしには気になる部分もありましたが、時空間転移を扱っている SF作品としては概ね納得感のいくものだったかなと印象です。そもそも時空間転移(特に時間転移)をツッコミどころなくまとめるのは不可能事に思えますし、自分はあまり細かいことを気にしないので。

決戦に向けて懐かしの面々が再登場するなど、長編ならではのストレートにワクワクする要素もふんだんに取り入れられていて、最後まで勢いで十二分に楽しめました。

後書きによると、ハイペリオン四部作は総計で400字詰め原稿用紙7000枚とのこと。小学生の頃、原稿用紙数枚分の作文で四苦八苦していた自分には想像も出来ない量です。これだけの超大作を書ききった著者と、それを訳しきった訳者の技量と熱量に感謝。