小説感想:『Ancillary Justice』
ヒューゴー賞 長編小説部門、 アーサー・C・クラーク賞、 ネビュラ賞 長編小説部門などを受賞した長編小説。3部作の1作目。
Ancillary Justice (Imperial Radch Book 1) (English Edition)
- 作者: Ann Leckie
- 出版社/メーカー: Orbit
- 発売日: 2013/10/01
- メディア: Kindle版
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『Three Body Problem』を楽しめたことに調子に乗ってまた洋書で長編 SF にチャレンジしてみたのですが、残念ながらこちらはきちんと楽しめるほどは理解できませんでした…。
現代的な世界観から地続きで未来に繋がる『Three Body Problem』とは違ってこちらは最初から現実とは全く異なる社会体制の世界が描かれており、大体の世界観を把握するまでに本文の 1/3 くらいを要しました。
そして、全体的に英語が難しく…。単語が難しいというわけではなく、主語と述語の対応や、代名詞が指している対象がよくわからなくて詰まることが多かったです。世界観の理解が追いついていないから文脈で文章を補完できず、わからないままの文章があるからさらに世界観の理解が曖昧になる、という悪循環に陥ってしまいました。
読み進めるに連れてわかった世界観は興味を惹かれるものであり、全体や後半のクライマックスの流れについてはある程度は楽しめたのですが、やはり細かい部分を理解できていないという消化不良感が大きいです。
2部, 3部と残っていますが、さすがにこの理解で、これだけの評価を得ている作品を読み進めるのは勿体無いと思うので、続きを読むのはとりあえず保留にしておこうかと思います。いつか邦訳が出たらそちらを読みたいですね。
洋書の小説の読解力を高めるにはどうすれば良いのだろう?ニュースやビジネス書、技術書の英文を読むくらいならばほとんど問題はないのですが、小説ではよく考えてもわからない文章がある程度出てきてしまいます(まぁ日本語の小説も一字一句理解しているわけではありませんが…)。これを何とかできれば、もっと娯楽作品を楽しめる幅が広がりそうなのですが…。
邦訳がでている本で、英語版を読みつつわからないところは邦訳を参照する、かなぁ?
ゲーム感想:『project OCTOPATH TRAVELER DEMO ver.』
期待の Nintendo Switch 向け新規IP RPG の体験版。
もともと期待していましたが、いい感じのドット絵と 3D の融合、戦略の幅が広そうな戦闘システム、キャラクター毎にとれる良い意味でゲームっぽい NPC とのインタラクションなど、体験版を触ってみて、間違いなく買うソフトに決まりました。
良い点
綺麗なドット絵
戦闘がほぼ完全にドット絵なのに驚きました。しかもクオリティが高い。特に敵のドット絵の迫力と不気味さが良いです。これを Unreal Engine でやっているのかーという驚きもあります。
工夫しがいのありそうな戦闘システム
Boost を使って手数を打って Break させるか、Break 中に Boost を使ってダメージを上乗せするか、敵の予備行動ありの強力な攻撃を潰せるように待機しておくかなど、パーティーメンバー・属性が増えると戦略性が増しそう。ダメージも物理と属性攻撃の得手不得手でかなりはっきりと差が出るようなので、パーティー編成も大事そうです。
(一方でレベル上げと装備充実で十分ゴリ押しもできそうでしたので、これはこれで安心しました)
NPC と戦ったり、NPC を誘惑したり
いかにもゲームっぽい感じが素晴らしい。クエスト的なものがすごい数できそうです。
豪華な声優陣
陣といってもまだ2人しか発表されてませんが、小西克幸さんと桑島法子さん、とくれば、他のキャラクターにも期待できるでしょう。フルボイスである必要はないと思っていますが、要所要所で良い演技が聴けたら嬉しいです。
製品版までに改善を期待する点
イベントスキップ
さすがにこれはできるようになると信じてますが、試行錯誤を要しそうな戦闘システムなので、戦闘前イベントはスキップできるようになっていて欲しいですね。
装備購入 → 即装備
多分なかった気がします。細かいですが。
戦闘突入時 / ターン切替時の速度アップ
微妙に突っかかっている気がしました。微妙に。慣れれば気にならない程度かも。
その他メモ
最終的にストーリー・キャラクターはどういう形で繋がるのか?
体験版では片方のストーリーをクリアした後、もう片方のキャラクターを仲間にできる、もう片方のストーリーが知りたければ New Game でそちらを選んでね、という形式でした。
本番でもこの形式の場合、キャラクター個別ルートでの戦績・取得アイテムを本筋のストーリーを進める用のマスターデータに引き継げないので、何か違う形が取られる可能性もありそうですが、一方で「誰をいつ仲間にするのも自由」という謳い文句もあるので本当にこのままというのもありえそうです。時間軸を戻せるようにしたところで、「A と B が仲間にいる状態で C を仲間にした」というルートと「A と C が仲間にいる状態で B を仲間にした」というルートは両立できないですし。
このままの形式 + 強くてニューゲーム的なものを実装して、ルート切り替える場合は最初から、が妥当?
残りの 6人の職業は?
スタート時のキャラクター選択でドット絵は出ていますね(ダミーの可能性もありそうですが)。
RPG であり得る職業と、本作品の NPC とのインタラクション機能を考えると僧侶、商人、盗人、歌手、魔法使い、王族あたりが候補?(そもそも本作品に魔法という概念や職業としての魔法使いはあるのだろうか?)
これからだんだんと情報が後悔されていくのが楽しみです。ドット絵がダミーで、獣人的なキャラクターや子どもがパーティーメンバーにならないかなー。
小説感想:『スティグマータ』
ロードレースとミステリーの要素をかけ備えた「サクリファイス」シリーズ5作目。 かつてドーピング違反によってロードレースを去った英雄の5年ぶりの復活の真意とは?という謎を添えてツール・ド・フランスのレースを描く。
- 作者: 近藤史恵
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2016/12/02
- メディア: Kindle版
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相変わらず良いシリーズで、主人公らしくない主人公、白石誓の嫉妬や後悔を抱えながらも前向きな感じを始めとしてロードレーサー達の描写が上手いです。エースの影であることへの誇りと葛藤や、最盛期を過ぎてしまったという自覚など、スポーツものとして純粋に面白い。
英雄復活の真意については説得力が弱く、結末に「サクリファイス」ほどの衝撃はありませんでしたが、作品全体としては良かったです。
小説感想:『このたびはとんだことで』
桜庭一樹奇譚集。
- 作者: 桜庭一樹
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2016/03/10
- メディア: 文庫
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「奇譚集」というだけあって、不思議系・雰囲気系のお話が多かったです。
それほど強く印象に残る作品はありませんでしたが、「青年のための推理クラブ」と「冬の牡丹」には共感できるモノがありました。
小説感想:『Paper Magician』
久々に Kindle オーナーライブラリーを活用して洋書を読みました。
The Paper Magician (The Paper Magician Series, Book 1)
- 作者: Charlie N. Holmberg
- 出版社/メーカー: 47North
- 発売日: 2014/09/01
- メディア: Kindle版
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Teen & Young Adult 向きで 200ページ強ということもあり、平日含めて3日で読了。
主人公が恩師を助けるために敵に立ち向かう、というシンプルなストーリーで、途中特に大きなひねりもありませんでした。
設定の説得力は少し弱い気がします。魔法使いは「契約」を交わすことで1種類の人工物に魔法を掛けることができるようになるものの、その対象は1つ限りで一生変えることができない、主人公は自分の希望に反して「紙」と契約することになる、紙なんて嫌だ…(世間的にも紙は人気がない模様)という導入なのですが、話が進むに連れて「紙魔道士万能過ぎでは?」と思えてきます。
他の魔法使いがほとんど出てこないため、もしかしたら相対的に見ると紙は弱く、地位が低いのかもしれませんが、であれば今回主人公が相対することになった敵の魔法使いへの対抗方法はいくらでもあるのでは、という方向に考えが進み、どっちにしても納得感には欠けそうです。
まぁ、魔法モノでこのあたりに必要以上に突っ込むのは野暮かもしれませんね。この世界における魔法のルールや役割もあまり詳しくは語られていませんし、良くも悪くも Teen & Young Adult 向けに複雑さが排除され、主人公の話に終始している、と言えるかもしれません。