書評:『ゼロから作るDeep Learning ―Pythonで学ぶディープラーニングの理論と実装』
タイトルに偽りなしでした。
ディープラーニングの各要素技術についての理論を説明した後、Python + NumPy (行列計算等に利用)+ Matplotlib(結果の可視化に利用)を用いて実際に実装してみる、ということを繰り返して、手書き文字(数字)認識の精度を高めていきます。
理論の説明については、手法(How)だけでなくなぜその手法が良いのか(Why)にも触れていて納得感があります。
5章の「誤差逆伝播法」くらいからは少し難しく感じましたが、それでも何とか追うことができました。本書の大きさと厚さが威圧的でないのも最後までやってみるモチベーションを維持する上で助かりました。
実際に今後ディープラーニングの独自実装や研究をするつもりは毛頭ないのですが、ディープラーニングを使って何かする、というのは面白そうだと思っています。その点において、ディープラーニング界隈で使われている用語について具体的なイメージができるようになってスッキリしました。
ゼロから作るDeep Learning ―Pythonで学ぶディープラーニングの理論と実装
- 作者: 斎藤康毅
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2016/09/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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小説感想:『犯罪』
2012年本屋大賞「翻訳小説部門」第1位の短編集。
犯罪事件の物理的な謎の解明ではなく、罪を犯すに至るまでの犯罪者の心理描写に重きが置かれている。
飛び抜けてこれが良い、と言う短編は特になかったが、一貫として淡々とした文体で全体を通して読みやすかった。
- 作者: フェルディナント・フォン・シーラッハ,酒寄進一
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2015/04/03
- メディア: 文庫
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書評:『Pythonクローリング&スクレイピング -データ収集・解析のための実践開発ガイド-』
wget + sed を使ったクローリング&スクレイピングのコンセプトの紹介に始まり、クローリング先の Web サイトに迷惑を欠けないための配慮(クローリング間隔の設定、robots.txt の解釈など)やデータベースへの保存など周辺知識についての説明も交えながら数多くのライブラリを使ったクローリング&スクレイピングの実践手法を丁寧に解説している良書でした。
Pythonクローリング&スクレイピング -データ収集・解析のための実践開発ガイド-
- 作者: 加藤耕太
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2016/12/16
- メディア: 大型本
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一つ一つの手法(ライブラリ)を深く説明するというよりは、目的に応じた手法をたくさん紹介しているという形式なので「こんなことがやってみたい」というアイディアがあれば「これを使えば良さそう」というのが何か見つかると思います。見つかった後は、それについてネットで調べたり、それ専門の本を読むと良いでしょう。自分はひとまず「Robobrowser」を使う方法に落ち着きました。概念がシンプルでわかりやすいのが魅力的です。
逆に最初から最後まで一度に全部手を出そうとすると息切れしそうなくらいのボリュームだったので、一部は「こんな手法もある、こんなこともできる」ということを把握するくらいに留めました。必要になったとき・ステップアップしたいと感じたときに改めて参照したいと思います。
また、ライブラリの紹介とは別に特にこの本から知ることができて良かったのは Chrome の「検証」機能です。右クリックメニューに「検証」という項目があり、それを押すと html 中のその要素を見ることができるのですが、さらにそこで右クリックを押すと「Copy」からスクレイピング時に利用できる selector や XPath を取得できる、というもの。
Web 開発者には常識的な機能なのかも知れませんが、実際に自分がスクレイピングを行いたいサイトの構造を調べるためにとても役立ちました。
良い本に出会えて感謝です。
イノベーションではない:『イノベーション・オブ・ライフ』
『イノベーションのジレンマ』などの著書を持つ、ハーバード・ビジネス・スクールの教授の人生訓に関する本。
その有名な書籍にちなんでの邦題だと思うのですが、さすがに内容と関係なさすぎるでは…。『イノベーション・オブ・ライフ』をあえてさらに訳すと「人生の革新」になりますが、「革新」って感じは全然ないです。
原著のタイトルは『How Will You Measure Your Life?』。直訳的には「人生をどう測るか」。
このタイトルからは多少なりとも定量的な話が出てくることを期待していたのですが、「Mesaure」については「自分の人生の目的・指針を深く考え、それによって人生を測るべき」という質的な言及に留まるものでした。やはり万人に当てはめられる人生の指標の測定方法などは(そもそもその指標自体が各自でバラバラなのでプロセスとしても)明示できない、ということでしょう。
ビジネスの理論を人生に応用する、という形式で話が進められます。大筋自体に特に目新しさを感じる部分はありませんでしたが、以下の言葉は具体性がありイメージしやすく、良いと思いました。
- 金銭などの外的な報酬は「衛生要因」であり「動機づけ要因」にはならない。衛生要因を整えれば仕事の不満を減らせるが、「仕事に不満がある」の反対は「仕事に満足している」ではなく「仕事に不満がない」である。それだけで仕事を好きにはなれない。
- 最低限満たさなければ病気になるが、ある程度以上にしても健康を増進はしない、ということから名付けられた「衛生要因」という名前がわかりやすいです。
- 目的のために製品・サービスを利用して「用事を片付ける」という考え方は人間関係にも当てはめられる(もちろん「用事」は物理的なタスクだけではない)。家族、友人、同僚は自分に何を片付けて欲しいのだろうか?と自問しよう(そして実際に片付けよう)。
- 「用事」という具体的な問題を想起させる用語が良いです。
逆に後半に出てくる「限界費用」、「限界利益」という概念は私には馴染みがなかったのでわかりずらかったです。会計関連の知識があるとスッと腑に落ちるのかもしれません。
イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ
- 作者: クレイトン・M・クリステンセン,ジェームズ・アルワース,カレン・ディロン,櫻井祐子
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2012/12/07
- メディア: 単行本
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地頭でもなく論理的思考力でもなく:『採用基準』
「リーダーシップを持ち、問題を自分でコントロールし解決に導くという姿勢が何よりも重要である」というお話。リーダーシップという言葉に抵抗があれば「結果に対する当事者意識」と言い換えても良いかもしれません。
リーダーシップの重要性、リーダーがなすべきタスク(目標を掲げる、先頭を走る、決める、伝える)についての主張は明確です。ただし、具体的にどのようにリーダーシップを学んでいけばよいのか、については課題が残ります。
「マッキンゼー流リーダーシップの学び方」という章はありますが、「マッキンゼーではこういう環境が整っているからリーダーシップが育まれる」という話題であり意識の問題に帰結するため、なかなかそのまま転用はし難いでしょう。もちろん強い意志を持って意識し続けられれば良いのですが…。
リーダーシップの重要性を再認識できたことを初めの一歩として、「じゃあ自分は今の環境・立場でどうするか」を考えることが二歩目になるのかと思います。
- 作者: 伊賀泰代
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2012/11/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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