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本やゲームの感想など

小説感想:『エデン』

ロードレースに少しのミステリ要素を併せた『サクリファイス』シリーズ。

エデン(新潮文庫)

エデン(新潮文庫)

スティグマータ』からあまり時間をおかずに読んだこともあって、全体の流れも細かな描写もある程度パターン化している、ということを強めに感じて少し新鮮味がありませんでしたが、それでもそれなりに楽しめました(ちなみにこちらの方が『スティグマータ』よりも前)。

ミステリっぽい部分は一応ある程度の伏線は序盤から張っていますが、事件の勃発も解決もかなり後半に急に来るので、良く言えばレース部分の描写の邪魔にならないです。悪く(?)言えば、ミステリ部分がなくても、少なくともそれほど大きな事件がなくともいいスポーツ小説になるんじゃないか、という気がするので、一度スッキリと最後までレースを描いてみてほしいなと思います。

人類は神になる:『Homo Deus』

サピエンス全史で有名な著者による、未来の人類の展望。

Homo Deus: A Brief History of Tomorrow

Homo Deus: A Brief History of Tomorrow

戦争や飢餓といった問題を(基本的に)解決した人類がこの先目指すのは「不死(immortality)」、「至福(bliss)」、「力(divinity)」(divinity は本来「神々しさ」とかそういう意味ですが、この本の文脈では「神のような力」的な意味で、要するに自分の能力を含めて全てを自在に操る科学力的なものを指してます)である、として、それがなぜなのか、そのことが社会に及ぼす影響を思索している本。

本書を読んだのは 1ヶ月程前で細かいことはあまり覚えていないのですが、読みやすく、なかなか面白かったです。

  • 宗教を捨てて科学に傾倒した人類は、人類そのもものを(他の動物とは違って)価値のある存在だとするヒューマニズムという思想によって(宗教を捨てたことによって失われた)「人生の意味」を守ろうとしてきたが、技術のこれ以上の発達はそれを脅かす(人類以上の知性が作成される、人間の脳が高度なアルゴリズムに過ぎないことが露呈する、など)
  • 物理的なリソースの価値が知識に対して相対的に低下したことによって兵士や消費者としての価値を失った大衆が、AI の発達と仕事の専門家によって労働者としての価値も失っている
  • 情報量が爆発的に増加した結果、現代の政治・政治家は未来のビジョンを持てず、国を導くのではなく国を管理するので精一杯である

など、一般人からしてみれば明るくない見通しもありますが、そういうのも含めて未来がどうなるのかを想像するのは楽しいですね。自分が生きている間にはそこまでの劇的な変化はないだろう、と思って他人事のように気楽に考えていますけど。

一方で、あと 50年か 100年くらい遅く生まれていたら世界がどこまでいくのを見られたのだろう、と考えると、それはそれでちょっと悔しい気もします。まぁ、それは不死が実現するまで、どんな時代に生まれようとその気持ちは変わらないのでしょう。

小説感想:『じごくゆきっ』

桜庭一樹短編集。

依存、不安、無力感、失望、憎悪、そういう、どこにでもあるけどどこか歪んでいる、屈折した感情の書き方が上手いです(程度は強いにせよ)。

どの作品も、劇的というよりは淡々とした調子でありながら、何か引っかかるものがありました。

爽やかさとは無縁の作品ですが、こういうのも「いかにも小説」という感じがして好きですね。

小説感想:『Ancillary Justice』

ヒューゴー賞 長編小説部門、 アーサー・C・クラーク賞、 ネビュラ賞 長編小説部門などを受賞した長編小説。3部作の1作目。

Ancillary Justice (Imperial Radch Book 1) (English Edition)

Ancillary Justice (Imperial Radch Book 1) (English Edition)

Three Body Problem』を楽しめたことに調子に乗ってまた洋書で長編 SF にチャレンジしてみたのですが、残念ながらこちらはきちんと楽しめるほどは理解できませんでした…。

現代的な世界観から地続きで未来に繋がる『Three Body Problem』とは違ってこちらは最初から現実とは全く異なる社会体制の世界が描かれており、大体の世界観を把握するまでに本文の 1/3 くらいを要しました。

そして、全体的に英語が難しく…。単語が難しいというわけではなく、主語と述語の対応や、代名詞が指している対象がよくわからなくて詰まることが多かったです。世界観の理解が追いついていないから文脈で文章を補完できず、わからないままの文章があるからさらに世界観の理解が曖昧になる、という悪循環に陥ってしまいました。

読み進めるに連れてわかった世界観は興味を惹かれるものであり、全体や後半のクライマックスの流れについてはある程度は楽しめたのですが、やはり細かい部分を理解できていないという消化不良感が大きいです。

2部, 3部と残っていますが、さすがにこの理解で、これだけの評価を得ている作品を読み進めるのは勿体無いと思うので、続きを読むのはとりあえず保留にしておこうかと思います。いつか邦訳が出たらそちらを読みたいですね。


洋書の小説の読解力を高めるにはどうすれば良いのだろう?ニュースやビジネス書、技術書の英文を読むくらいならばほとんど問題はないのですが、小説ではよく考えてもわからない文章がある程度出てきてしまいます(まぁ日本語の小説も一字一句理解しているわけではありませんが…)。これを何とかできれば、もっと娯楽作品を楽しめる幅が広がりそうなのですが…。

邦訳がでている本で、英語版を読みつつわからないところは邦訳を参照する、かなぁ?

ゲーム感想:『project OCTOPATH TRAVELER DEMO ver.』

期待の Nintendo Switch 向け新規IP RPG の体験版。

www.jp.square-enix.com

もともと期待していましたが、いい感じのドット絵と 3D の融合、戦略の幅が広そうな戦闘システム、キャラクター毎にとれる良い意味でゲームっぽい NPC とのインタラクションなど、体験版を触ってみて、間違いなく買うソフトに決まりました。

良い点

綺麗なドット絵

戦闘がほぼ完全にドット絵なのに驚きました。しかもクオリティが高い。特に敵のドット絵の迫力と不気味さが良いです。これを Unreal Engine でやっているのかーという驚きもあります。

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工夫しがいのありそうな戦闘システム

Boost を使って手数を打って Break させるか、Break 中に Boost を使ってダメージを上乗せするか、敵の予備行動ありの強力な攻撃を潰せるように待機しておくかなど、パーティーメンバー・属性が増えると戦略性が増しそう。ダメージも物理と属性攻撃の得手不得手でかなりはっきりと差が出るようなので、パーティー編成も大事そうです。

(一方でレベル上げと装備充実で十分ゴリ押しもできそうでしたので、これはこれで安心しました)

NPC と戦ったり、NPC を誘惑したり

いかにもゲームっぽい感じが素晴らしい。クエスト的なものがすごい数できそうです。

豪華な声優陣

陣といってもまだ2人しか発表されてませんが、小西克幸さんと桑島法子さん、とくれば、他のキャラクターにも期待できるでしょう。フルボイスである必要はないと思っていますが、要所要所で良い演技が聴けたら嬉しいです。

製品版までに改善を期待する点

イベントスキップ

さすがにこれはできるようになると信じてますが、試行錯誤を要しそうな戦闘システムなので、戦闘前イベントはスキップできるようになっていて欲しいですね。

装備購入 → 即装備

多分なかった気がします。細かいですが。

戦闘突入時 / ターン切替時の速度アップ

微妙に突っかかっている気がしました。微妙に。慣れれば気にならない程度かも。

その他メモ

最終的にストーリー・キャラクターはどういう形で繋がるのか?

体験版では片方のストーリーをクリアした後、もう片方のキャラクターを仲間にできる、もう片方のストーリーが知りたければ New Game でそちらを選んでね、という形式でした。

本番でもこの形式の場合、キャラクター個別ルートでの戦績・取得アイテムを本筋のストーリーを進める用のマスターデータに引き継げないので、何か違う形が取られる可能性もありそうですが、一方で「誰をいつ仲間にするのも自由」という謳い文句もあるので本当にこのままというのもありえそうです。時間軸を戻せるようにしたところで、「A と B が仲間にいる状態で C を仲間にした」というルートと「A と C が仲間にいる状態で B を仲間にした」というルートは両立できないですし。

このままの形式 + 強くてニューゲーム的なものを実装して、ルート切り替える場合は最初から、が妥当?

残りの 6人の職業は?

スタート時のキャラクター選択でドット絵は出ていますね(ダミーの可能性もありそうですが)。

RPG であり得る職業と、本作品の NPC とのインタラクション機能を考えると僧侶、商人、盗人、歌手、魔法使い、王族あたりが候補?(そもそも本作品に魔法という概念や職業としての魔法使いはあるのだろうか?)

これからだんだんと情報が後悔されていくのが楽しみです。ドット絵がダミーで、獣人的なキャラクターや子どもがパーティーメンバーにならないかなー。

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