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砂糖・塩・脂肪:『フードトラップ 食品に仕掛けられた至福の罠』

読書 社会 健康 再読候補

とても素晴らしいビジネスドキュメンタリー本でした。副次的な作用として、間食の予防、ダイエットにも役立ちそうです。

煽動的なタイトルとは裏腹に*1、常識的な消費者の視点で加工食品業者が行っている商品戦略、マーケティング戦略の裏側、負の影響を徹底的に暴きながらも、彼らを一方的な悪者にはせず、なぜ彼らがそうせざるを得ないのか、という状況までしっかり踏み込んで書かれています。

フードトラップ 食品に仕掛けられた至福の罠

フードトラップ 食品に仕掛けられた至福の罠

つまるところ、加工食品業者は営利企業であり市場競争(とウォール街)のプレッシャーにさらされているため、消費者が求める商品を作る、より多く売る必要に迫られています。本書では、いかに砂糖、塩、脂肪といった添加物(の主に増加)が消費者の心を掴むのに役立ち、売り上げに響くのかということが詳しく書かれていたので、それらに頼ることを一方的に責めることはできませんでした。

また、健康志向が高まってきた消費者に対して、マーケティングを通じて商品を実態よりも健康的に見せようとするのも、当然の戦略です。

もちろん、行き過ぎたロビイングや研究結果の歪曲した報道、消費者を騙すような狡猾な広告・パッケージなど、看過できないような手段が用いられることもあり、それらには憤りを覚えますが、「企業は消費者のニーズに答えようとしており、食品に関して人は健康的かどうかよりも味・低価格・利便性を求めている(ことが多い。少なくとも現在は。)」という本質を変えることはできません。

その辺りを冷静に鑑みた上で、賢く加工食品と付き合っていけるようになりたいと思います。

向こうは塩分・糖分・脂肪分を手中にしている。が、最終的な選択権はわれわれの手にある。何を飼うかを決めるのは私たちだ。どれだけ食べるのかを決めるのも私たちである。

*1:もっとも、原著のタイトルは「Salt Sugar Fat: How the Food Giants Hooked Us」であり、「トラップ」という明確な悪意を連想させる言葉は使われていませんが