余裕は贅沢ではなく必需品:『いつも「時間がない」あなたに: 欠乏の行動経済学』
時間や金銭に余裕がないという状況は、それ自体が認知能力を低下させて状況をより悪化させかねないということを様々な実験を通して明らかにし、余裕(=スラック)を持つことの大切さを解く本。
いつも「時間がない」あなたに: 欠乏の行動経済学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 作者: センディルムッライナタン,エルダーシャフィール,Sendhil Mullainathan,Eldar Shafir,大田直子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2017/01/07
- メディア: 単行本
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差し迫った締め切りが集中力を生み出し、金欠が節約を意識させるように、短期的な時間や金銭の欠乏はその対象に対する注意力を増加させる効果があるが、一方でそれ以外の事象を視界の外に追いやってしまう(トンネリング効果)。
そのような状態が続くと考え方が近視的になり、根本的な問題解決に向けた創造的思考を行う余裕や、不測の事態に対応するだめの柔軟性も失うことになる。
不測の事態は常に訪れるものであるため、個人も組織もそれらに備えられるだけの余裕を予め意識的に組み込んでおくべきである。それにより、創造的思考を働かせる余地が生まれ高いパフォーマンスを維持することができる。
人の豊かさは気にしないでいられるもの数に比例する