歴史などたわごとだ:『すばらしい新世界』
幸福と安定のために自由と科学、芸術、歴史、宗教、その他諸々を犠牲にして徹底的な階級社会を作った文明を描いたディストピア小説。これが1932年に書かれた作品とは。。。噂に違わぬ名著でした。
日本語訳も不自然に感じる部分がなく、とても読みやすかったです。
- 作者: オルダス・ハクスリー
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2015/04/24
- メディア: Kindle版
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幸福をとるか真理をとるか、薬で幸福感と博愛心を得ることの善悪等々、扱っている題材は古さを感じさせません。洞察に富んだ言葉も多く、刺激的な読書時間を過ごせました。
最初の方に出てきた、ぐっときた文章をひとつ載せておきます。
それこそが幸福な人生を送る秘訣なのだよ - 自分がやらなければならないことを好むということが。条件付けの目的はそこにある。逃れられない社会的運命を好きになるように仕向けることにね。
※ ちなみに「歴史などたわごとだ」の元ネタはヘンリー・フォードの "History is bunk" です。