読書メモ:『LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲』
3行まとめ
- 社会側・制度側の変革が必要な一方で、問題による被害を受けている当事者達(この本では主に女性)が一歩踏み出し声を挙げる必要がある。問題がない(既に解決した)ふりをしていては何時までも解決しない
- 多くの女性が権力のある地位に就くことが、すべての(社会的に地位の低い方も含めた)女性の公平な処遇に繋がるはずである
- 女性の社会進出、男性の家庭貢献には社会にも家庭、子育てにも大いに良い影響があり、「女性は家庭を守るべき」という(女性自身も抱いていることが多い)ステレオタイプ、社会の期待には科学的根拠はない
LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲
- 作者: シェリル・サンドバーグ
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2014/05/16
- メディア: Kindle版
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Facebook の女性 COO(chief operations officer:最高責任者)、シェリル・サンドバーグ女史が書かれた、(主に)女性が活躍できる社会にするにはどうすれば良いか、(主に)女性自身の方で心掛けるべきことやできる事について書かれた本です。
多くの研究結果を挙げて、社会で女性が活躍するための障壁や偏見がまだまだ存在する事、またその中のいくつかは女性自身の意識の問題である事を示し、それらを克服することの必要性を説いています。
私としては、せめてこういう問題が存在することを認識し、社会で活躍している女性を素直に応援できるようになれればなぁと思います。
以下、心に残った研究結果や関係者の言葉。
- 男性は可能性(ポテンシャル)を買われて昇進するが、女性は過去の実績で昇進する(2011年のマッキンゼー・レポート)
- 実在の女性成功者の経歴について、そのままの経歴と、名前だけ男性名に変えた経歴を学生に読ませ印象を比較した結果、能力面では同等の評価がされたが男性名の方が好ましい同僚とみなされた(コロンビア大学フランク・フリン教授、ニューヨーク大学キャメロン・アンダーソン教授)
- 成功と好感度は男性では比例するが、女性では反比例する
- ジェンダー・ディスカウント:女性には「献身的」というステレオタイプがついてまわり、他人に親切にしたがっていると思われているために、安く見られている
- 男性が同僚の仕事を手伝うと評価が上がり、手伝わなくとも評価が下がらないのに対し、女性の場合は手伝わなければ評価が下がりやすい
- 交渉の席につく際は、「自分のことを考え全員のために行動する」という心持ちで、女性全体のため、もしくは"私たち"のためというスタンスでいくと良い
- キャリアはハシゴではなくジャングルジムであり、多くの人がそれぞれ別の方法で、別のゴールに登る余地がある(パティ・セラーズ)
- 仕事を決めるときの基準は一つしかない、それは急成長だ:「もしロケットの一席をオファーされたら、どの席かなんて訊かないだろ。すぐ乗り込むはずだ」(著者が Google への就職について迷った際にエリック・シュミット氏が送ったアドバイス)
- 新しいポストへの募集が合った際、男性は 60% 程度条件を満たしていれば応募するのに対し、女性は 100% 満たしていると確信しない限り応募しない(ヒューレット・パッカード社の社内調査)
- ティアラ・シンドローム:「よい仕事をしていればきっと誰かが気づいて冠(ティアラ)をかぶせてくれると期待する」という傾向。残念ながらそんな事はないので、自分で実績は主張しなければならない(Negotiating Women設立者、キャロル・フロリンガー女史)
- キャリアはマラソン:沿道の観衆は、男性には「頑張れ」と声援を送り続けるのに対し、女性には「そんなに無理するな」、「もう十分」、「子供が待っているのにどうして走り続けるんだ」などと叫ぶ
- 「女性に対するいちばん失礼な質問は何だと思う?(…)どうやって全部こなしているのか、という質問よ。明らかに非難の色を目に浮かべて、あなたは家庭のことをほったらかしにしているにちがいない、とその目は語っている」(女優兼脚本家ティナ・フェイ)
- 「忙しがり屋」は認められない。私は仕事のクオリティに対して報酬を払うのであって、勤務時間の長さに払うのではない。(コリン・パウエル元国務長官)
- 「力を持つ者が名詞を獲得し、それが標準となる。力のない者には形容詞が付く」(グロリア・スタイネム)
- 女性CEO、女性パイロット、女性弁護士などなど…
本の中でも言及のあった彼女のTEDトークはこちら。