not yet

本やゲームの感想など

2017-02-01から1ヶ月間の記事一覧

思い出しライトは作れるか:『脳はなぜ都合よく記憶するのか』

ありもしなかったことの記憶が創作され確信される仕組み、被験者に偽の記憶を植え付ける方法などを提示しながら、記憶を事実として信用すべきでない理由を明らかにしている。 その根底にあるのは「記憶は(記憶されたその瞬間から)完全ではない」という単純…

失敗なくして進歩なし:『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』

失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織作者: マシュー・サイド,有枝春出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン発売日: 2016/12/23メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る 失敗から学ぶ組織(業界)の主要な例…

「言葉にできない」は「考えていない」と同じ:『「言葉にできる」は武器になる。』

タイトルに強く同意したので、何冊目かはわからない「この手の本」を読了。 内容自体は類似のこの手の本とさほど変わりはなく、1時間強で読めてしまって 1500円 なのであまりコスパは高くない(コスパを「内容の量/金額」で計算するならば)が、さすがに文章…

ゲーム AI の現在と未来:『人工知能の作り方 ――「おもしろい」ゲームAIはいかにして動くのか』

身体を持つキャラクターが自身を動かし世界とインタラクションするための AI、チーム・群衆をコントロールする AI など、画像認識や音声認識といった狭い範囲での AI の例に留まらず、ゲーム内世界の実現や人間的なロボットに必要な幅広い範囲のトピックを扱…

技術で人と社会を豊かに:『ウェルビーイングの設計論-人がよりよく生きるための情報技術』

人の生活をより良くすることを意識して製品・サービスを作成するために必要な知識をまとめた本。 カバーしている範囲が多岐に渡るので、取っ掛かり、リファレンスとしては役に立つかもしれない。情報が整理されて並べている反面、作者の主張や熱意を感じるタ…

「怖い感じ」とは何か:『恐怖の哲学―ホラーで人間を読む』

「ホラー作品はなぜ娯楽として成立しているのか」など恐怖を主題とはしているが、それはあくまで具体例。 そもそも「感じ」や「情動」とは何で、どういう役割を果たしているのか、というもっと広い疑問を、生物学、脳科学を採り上げて解説していたため、ホラ…

小説感想:『ダンガンロンパ霧切 3・4』

密室十二宮編。まさか 3, 4巻でも終わらず 5巻に続くとは。 3巻 トリックの机上の空論っぽさがダントツ。いや、本当に上手くいくのかもしれないけれど、手間とリスクが大きすぎるというか、もっとシンプルでいいよねっていう。まぁキャラ物小説だからその辺…

EQ:『Emotional Intelligence』

Google発のマインドフルネス解説書として有名な『サーチ・インサイド・ユアセルフ』の参考文献の筆頭に挙げられている本。 Emotional Intelligence: 10th Anniversary Edition; Why It Can Matter More Than IQ作者: Daniel Goleman出版社/メーカー: Bantam…

余裕は贅沢ではなく必需品:『いつも「時間がない」あなたに: 欠乏の行動経済学』

時間や金銭に余裕がないという状況は、それ自体が認知能力を低下させて状況をより悪化させかねないということを様々な実験を通して明らかにし、余裕(=スラック)を持つことの大切さを解く本。 いつも「時間がない」あなたに: 欠乏の行動経済学 (ハヤカワ・…

微生物も積もれば巨人となる:『見えない巨人―微生物』

微生物に関してはほとんど何も知らず、せいぜい細菌のイメージが先行してなんとなく良い印象は持っていないという程度だったのですが、本書で微生物の多様性と有用性を窺うことができました。まさに「知らなかったことを知る」ことができて大変満足です。 本…

小説感想:『戦場のコックたち』

青春ミステリという紹介をみましたが、青春という言葉から連想するような爽やかさからは遠く、ミステリ要素もあくまで(良い)味付けで、全体としては「戦争もの」。 戦争の描写はしっかりと厳しく、コックとして戦争に参加した主人公もいつの間にか戦闘に慣…

皮膚がふやける理由:『触れることの科学: なぜ感じるのか どう感じるのか』

触覚に関する身近な様々な疑問に対して、今までに解明されている脳や神経といった解剖学的な仕組みから科学的に説明していて、読みやすく面白かったです。 触れることの科学: なぜ感じるのか どう感じるのか作者: デイヴィッド・J.リンデン,David J. Linden,…

「気づいた時」には脳で何が起こるのか:『意識と脳――思考はいかにコード化されるか』

被験者の自己申告による「気付き」に焦点を当てて科学を遂行するという試みが、単純でありながらなるほどと思えて面白かったです。 無意識と意識の違いに焦点を当て、錯視や認識できるかできないかの境目となるような情報の提示方法を利用し、同じ刺激に対し…

遺伝子の協力と裏切り:『遺伝子の社会』

遺伝子が後世に伝わり進化や変異が生まれる様子を、遺伝子の集まり(ゲノム)を社会、個々の(対立)遺伝子をその構成員とみなして解説した本。 読み物としてはちょっと堅い感じで、説明される個々の例には専門的な用語も多いですが、遺伝子の集まりを社会と…