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小説感想:『ここから先は何もない』

小惑星探査機が採取してきたサンプルに含まれていた、人骨化石を巡って繰り広げられる長編 SF。

ここから先は何もない

ここから先は何もない

設定・結末に面白みを感じる部分はあったものの、登場人物があまり魅力的に感じられなかったことと、トリックの種明かしや天才級ハッカーという設定の主人公が出来ることの都合の良さにあまり納得がいかなかったこともあって、小説全体としては「まぁまぁ普通に面白かった」という感想です。

Amazon 上でのレビューでも書かれていますが、誤植が多いのも全体の印象を下げていて勿体無いですね。

著者の後書きによると

星を継ぐもの』という作品に、ある不満を持っています。その不満を解消するために、わが身の非力もかえりみずにこの作品に手を染めました。

とのこと。実際どんな不満だったのか、は推して知るべし、ということなのか、書かれていないです。

「星を継ぐもの」の良さは、壮大な SF 設定に、わかりやすく「謎解き」という道筋があって、それでいて登場人物に魅力があったことにもあると思うのですが、それと比べてしまうと本作品の登場人物の魅力の無さはより気になるところ。エンタメ小説として面白さを狙ったというよりは、思考実験に物語を載せた、というような形なのかもしれません。