善悪は直感で決まり、理屈は後からついてくる:『〈わたし〉はどこにあるのか: ガザニガ脳科学講義』
脳が意識をつくり、脳が物理法則に従うのであれば、自由意志とは幻想なのではないか…、というよくある(?)疑問に対して、多くの科学的な研究を挙げて「今までにわかっていること」と「まだわかっていないこと」を幅広く解説した良書でした。
また、個人レベルでの脳(遺伝子・細胞)と意志・意識との関係だけでなく、集団が作る社会(環境)が、生き残る個人を選別するという自然淘汰加速のプロセスや、道徳心・正義感のような集団の中で機能する脳の側面なども取りあげられており、こちらも興味深いものでした。
結局よくわからん、という部分がある点は否めないですし、この手の知識を中途半端に持っていても実生活において役に立つことはまずない(変に意識するとむしろ逆効果)でしょうが、単純に「好奇心が刺激される」という意味で面白い本だと思います。
- 作者: マイケル・S.ガザニガ,Michael S. Gazzaniga,藤井留美
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2014/08/28
- メディア: 単行本
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