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ゲーム感想:『大逆転裁判』

これで終わり!?

5章の途中から「これは初の6章構成か!」と期待していたら、5章の法廷で一気に風呂敷畳められてしまいました。ワトソン教授の殺人事件の真実と逮捕しそこねた英国人留学生の行方、不幸の連鎖で死んでしまった亜双義の目的、意味深な革命家、「死神」検事を裏切った日本人、電報の内容などなど、大きな謎を取り零しつつ。ヴォルテックス判事も、確か「自分が優秀だから裁判に勝てたとでも思ったか?」みたいな気になるセリフを言っていたような。

ファイアーエムブレムif 白夜王国』についての感想でもでもそんな事を書きましたが、やっぱりお話は一本のパッケージで基本的に完結して欲しいですねー。その辺り、1~3 の、1, 2 とそれぞれで「完結」しつつ、3 で全てを繋げて改めて「大完結」させた初代3部は最高だったのですが。

まぁそれも振り返ってみたら、の事なので、大逆転裁判もひとまずは続編に期待はしますけど。。。というより、続編(もしくは伏線回収するダウンロードコンテンツ)がでないと、ちょっと絶望的な気もします。。。もはや打ち切り漫画レベルでしょう。。。

「ムジュンを探す」の比重は減った

システム面で言うと、視点を動かして指摘箇所を探す「推理劇場」、(ほぼ)音声を聴いて反応するだけの「といつめる」は、ムジュンを考える感じがなく単純作業っぽくって、うーん、という印象です。情報を引き出すのにいつも「ゆざぶる」では飽きてしまうかもしれないので、アクセントとして無意識に機能しているのかもしれないとは思うのですが。

逆転裁判5の流れを受け継いで、難易度は全体的に低めで、どこに行けばよいかわからなくなるようなこともなく、良く言えば楽に、悪く言えば作業的になっているので、変化が必要なのかなぁと。

唯一(?)、5章終盤の、「といつめる」から得た証拠一覧には残らない情報を使う身体検査の件は考えてる感じがして好きです。

最終弁論(最終ではない)

これは意図としては「ゆさぶる」のアクセント + 緊張感の挿入でしょうか?(プレイヤーとしては、普段の尋問とリスクは変わりませんけど)

それはさておき、陪審員も検事さんも毎度毎度「今度こそ決定的だ」みたいなスタンスで、やっぱり「推理モノ」でプレイヤーに考える機会を与えつつ、ライバルや他のキャラクターを賢く見せるのは難しいんだなーと改めて実感するシステムでもありました。

推理モノで「頭のよくない人の相手をさせられている感じがする」というのはやっぱりマイナスなので、どうにか工夫して欲しいところです。

キャタクター陣

(基本的に)優等生の寿沙都さん、天才で愛らしいアイリス、ところどころ可愛げがなくもないジーナ、ワガハイと、ヒロイン(?)勢に不満は全くないのですが、なんとなくボケ(?)不在感のような寂しさを感じたりも(そういえば、5の希月心音に、なんとなく「逆転裁判のヒロイン感」を感じたのはなぜだろう。「ボケ」枠では無い気もしますが…)。

そいういう意味で言うと、漱石、ティンピラー兄弟辺りが逆転裁判っぽい「色モノ感」があって好きでした。モーションも小気味よい感じで。

魅力ある犯人・事件の不在

メグンダルはネーミングもキャラクターもなかなか好きだったので、もっと活躍を期待したのですが残念な結果に。死んでからも、途中までは「死してなおもその影響力を残す巨悪」みたいな存在になってくれることを期待してたんですけどね。

結果的にラスボスとなったエッグ・ベネディクト(仮)は、庶民的というか、「悪役」っぽい雰囲気がなく、どうもラストのカタルシスが欠けることに。モーションは好きなんですけど。ラスボスにはやっぱりカリスマ性というか、強烈なビジョンなり欲望なりを期待したいところです。

振り返ってみると、1章では犯人を逮捕しきれず、2章は不運の積み重ねの追求、3章はメグンダルの弁護、4章も2章と同じく不運の積み重ねの追求、5章だって「殺人」を犯すつもりはなかった、と、まともに悪意のある犯人を捉えられた章がないような…。もっと犯人を追い詰める快感、事件の真相に迫る緊張感が欲しいです。

ランドストマガジン(ダウンロードコンテンツ

とりあえずシーズンパスを購入して Vol.1 をダウンロードしました。亜双義の赤ハチマキがそんな理由だったとは…。設定資料が見れるのも楽しいですね。解像度は 3DS ということもあって低めですが。。。没になった BGM が聴けるのはデジタルコンテンツならではだと思います。

1セット300円(シーズンパスなら250円)は「妥当」ですかね。安くはないですが、これくらいならまぁ買ってもいいかなというラインにギリギリ乗っている、350円だと高いと感じる、そんなところです。せいぜい続編へのお布施になれば幸いかな…。

「それより本編を完結させろ!」というのが正直な思いではあります。


「お話が完結していない!」という大きすぎる不満はあれど、続編が出たらなんだかんだで買ってしまうでしょう。システムやキャラクター同士の掛け合いなど、『逆転裁判』を成す構成要素自体は未だ好きですし、今作でそれらが「なくなってしまった」とはあまり思っていません(とはいえ印象に残っているような言い回しはあまり浮かばないので、少なかったようには思います)。第一作目からのファンとして、まだ逆転裁判シリーズには期待したいです。

…しかしだからといって、この未完結さは。。。続編出る頃には、ほぼ確実に今作で張られた伏線忘れてしまってそうですし。。。

上手く時代を切り替えて『逆転裁判』シリーズを仕切り直すチャンスだった感じがあっただけに、新シリーズ1作目として、それ単体で無条件にオススメできるようなゲームにして欲しかったです。今はもう、続編で「1では謎をバラマキっぱなしだったけどその後上手くまとまったね。」となることを祈るばかりです。