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本やゲームの感想など

「気づいた時」には脳で何が起こるのか:『意識と脳――思考はいかにコード化されるか』

被験者の自己申告による「気付き」に焦点を当てて科学を遂行するという試みが、単純でありながらなるほどと思えて面白かったです。 無意識と意識の違いに焦点を当て、錯視や認識できるかできないかの境目となるような情報の提示方法を利用し、同じ刺激に対し…

遺伝子の協力と裏切り:『遺伝子の社会』

遺伝子が後世に伝わり進化や変異が生まれる様子を、遺伝子の集まり(ゲノム)を社会、個々の(対立)遺伝子をその構成員とみなして解説した本。 読み物としてはちょっと堅い感じで、説明される個々の例には専門的な用語も多いですが、遺伝子の集まりを社会と…

砂糖・塩・脂肪:『フードトラップ 食品に仕掛けられた至福の罠』

とても素晴らしいビジネスドキュメンタリー本でした。副次的な作用として、間食の予防、ダイエットにも役立ちそうです。 煽動的なタイトルとは裏腹に*1、常識的な消費者の視点で加工食品業者が行っている商品戦略、マーケティング戦略の裏側、負の影響を徹底…

SIY:『サーチ・インサイド・ユアセルフ』

瞑想関係の記事を見るたびに「信頼の置けそうな研究結果も出てるみたいだしやってみようかな、でも何だか胡散臭いしなー。」と思い続けて1年以上が経過していたものの、最近精神的に辛く感じる機会も少なくないし今年は少し実践してみるか、ということで Goo…

テクノロジーが注意を奪う:『神経ハイジャック ― もしも「注意力」が奪われたら』

2006年に携帯電話を操作しながらの「ながら運転」が原因で起きた交通事故を、関係者のバックグラウンドを詳細に調べてドキュメンタリー風の物語として進めながら、テクノロジーが浮き彫りにする注意力の限界やそれがもたらす社会への影響についてまとめ上げ…

言葉と思考:『言語が違えば、世界も違って見えるわけ』

言語が思考に与える影響について、数々の説が主張され、そして否定される歴史を辿りながら、最近の研究成果を挙げて現在の知見をまとめている、科学系の読み物としてとても面白い本でした。 「年間ベストブックを多数受賞」だそうですが、納得です。 言語が…

小説感想:『紙の動物園』

とても良い短編集でした。 全体的に感傷的な文章なのですが、短編集にありがちな「ちょっといい話」ともまた違う、不思議な感じな物語が多かったです。 特にお気に入りの作品は「紙の動物園」、「もののあはれ」、「良い狩りを」。それ以外の作品もハズレは…

ゲーム感想:『ニューダンガンロンパV3 みんなのコロシアイ新学期』

1/16 : ところどころ加筆修正。 ※ ネタバレ超注意!本編に関する重大なネタバレを含みます。クリア前の方は読まないことを強くお勧めします。 とりあえず本編クリアしたので殴り書きです。 いろいろ伏線の見落としや考察の不足があると思いますが、ご容赦下…

小説感想:『巨人たちの星』

『星を継ぐもの』、『ガニメデの優しい巨人』の続編である『巨人たちの星』を読みました。 巨人たちの星 (創元SF文庫)作者: ジェイムズ・P・ホーガン出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2014/12/12メディア: Kindle版この商品を含むブログ (4件) を見る …

小説感想:『ガニメデの優しい巨人』

お気に入りの SF小説の1つの『星を継ぐもの』の続編、『ガニメデの優しい巨人』を読みました。 ガニメデの優しい巨人 (創元SF文庫)作者: ジェイムズ・P・ホーガン出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2014/12/12メディア: Kindle版この商品を含むブログ (…

小説感想:『高い城の男』

第二次世界大戦でドイツや日本を筆頭とした枢軸国が勝利し、その後の社会を支配しているという仮想世界を描いた小説、『高い城の男』を読みました。 高い城の男作者: フィリップ・K・ディック出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2012/11/30メディア: Kindle版…

漫画感想:『ベルサイユのばら』

『第3のギデオン』を読んでいたところ姉が勧めてくれた『ベルサイユのばら』を読みました。 ベルサイユのばら 文庫版 コミック 全5巻完結セット (化粧ケース入り) (集英社文庫―コミック版)作者: 池田理代子出版社/メーカー: 集英社発売日: 2009/07/21メディ…

死にゆく中で生の意味と希望を探す:『When Breath Becomes Air』

多くのサイトで 2016年のベスト本の1つとして紹介されていた『When Breath Becomes Air』を読了しました。 When Breath Becomes Air作者: Paul Kalanithi出版社/メーカー: Random House発売日: 2016/01/12メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る 脳神…

ゲーム感想:『Her Story』

過去の事件のインタビュー映像のデータベースを、適切なワードを考えて検索、閲覧していくことで謎を解き明かすゲーム、『Her Story』をプレイしました。 store.steampowered.com 検索結果に対して閲覧できる映像は最大で5つまでで、一般的すぎる言葉(I や …

ゲーム感想:『MOMODORA -月下のレクイエム-』

ノーマル1周目のクリア時間は攻略サイトなしで6時間程、快適に楽しめました。 良かったところ 全体的な操作性 良作2Dアクションゲームと評価されているだけあって操作系は全体的に快適でした。 ジャンプ中を含めて移動時の変な慣性がなく、緊急回避アクショ…

ゲーム感想:『Undertale』

※ ネタバレ注意 ネット上で一種のカルト的な人気があるゲーム。気になっていたのでプレイしました。 Steam 上で「圧倒的に好評」なのは「こういうゲームが好きな人がプレイしている」ということに起因する部分も多いとは思いますが、それでも「こういうゲー…

ニューダンガンロンパV3 体験版をプレイして:期待と生存予想・クロ予想

いつの間にか発売日まで後20日を切っています。 体験版自体は「え、これで終わり?」という感じで少し消化不良気味ですが、本編には大いに期待してます。 本編クリアした後に「プレイする前はこんなことを思っていたんだなー」ということを懐かしむために、…

ゲーム感想:『ざくざくアクターズ』 - 傑作群像RPG

終わってみてのまず一番の感想は「これぞフリーゲーム」。「フリーゲームとは思えないクオリティの高さ」という方向性ではなく(クオリティが低いわけではもちろんないです)「フリーゲームならではの熱量の大きさ」が凄まじく、よく作り込まれていて、作者…

小説感想:『本泥棒』

わたしは言葉を憎み、言葉を愛してきた。 その言葉を正しく使えていればいいのだけれど。 第二次世界大戦下のドイツにおいて、ヒトラー総統が言葉によってもたらしたユダヤ人迫害や戦争に翻弄されながら、言葉によって救われた女の子の物語。 戦争中の街が舞…

小説感想:『Never Let Me Go』

少し暗い道をゆったり歩くような独特の雰囲気の小説で、大きな事件やどんでん返しという仕掛けがないにも関わらず最後まで退屈することはありませんでした。 主人公が過去の思い出を語る形で話が進んでいきますが、ところどころ「どういう意味だろう?」と引…

人工知能の人権 > 人間の人権?:『シンギュラリティ:人工知能から超知能へ』

満足度:★★★☆☆ シンギュラリティ:人工知能から超知能へ作者: マレー・シャナハン,ドミニク・チェン,ヨーズン・チェン,パトリック・チェン出版社/メーカー: エヌティティ出版発売日: 2016/01/29メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (5件) …

脳の理解への道のりは遠い:『コネクトーム:脳の配線はどのように「わたし」をつくり出すのか』

満足度:★★★☆☆ 『脳の配線はどのように「わたし」をつくり出すのか』というタイトルから「いま現在わかっている、コネクトーム(脳の配線)と脳の高次機能(記憶、学習など)の関係について解説する」という内容を期待していたのですが、実際に読んでみると…

道徳が嫌いな方に:『社会はなぜ左と右にわかれるのか――対立を超えるための道徳心理学』

満足度:★★★★★ 私は小学校のころは道徳の授業が嫌いでした。 …ということは特にない(*1)のですが、「道徳」と聞くとちょっと身構えてしまいますね。胡散臭いというか、宗教感があるというか、思想統制のにおいがするというか。 社会はなぜ左と右にわかれる…

ゲーム感想:『星のカービィ ロボボプラネット』

シール集め以外一通りクリアした*1ので感想を。 星のカービィ ロボボプラネット出版社/メーカー: 任天堂発売日: 2016/04/28メディア: Video Gameこの商品を含むブログ (1件) を見る 全体的に 『星のカービィ Wii』、『星のカービィ トリプルデラックス』の流…

2ドルで親の魂売りませんか?:直感と合理性について

「私 (あなたの名前) は、死んだら、スコット・マーフィー(*1)に魂を2ドルで売り渡すことを約束します」 こんな用紙を渡されて、サインしたら本当に2ドル貰える場合、あなたはサインしますか? これは『社会はなぜ左と右にわかれるのか――対立を超えるた…

ゲーム感想:『ライフ イズ ストレンジ』

ストーリー良し、雰囲気良しの良作品でした。手軽にプレイできることもあって、オススメ。 ライフ イズ ストレンジ出版社/メーカー: スクウェア・エニックス発売日: 2016/03/03メディア: Video Gameこの商品を含むブログ (2件) を見る !!ネタバレ注意!! …

悪魔を生み出す簡単な方法とは:『ルシファー・エフェクト ふつうの人が悪魔に変わるとき』

満足度:★★★★★ かの有名なスタンフォード監獄実験の詳細について、準備から実施、そして振り返りまでまとまった形で読めただけでも価値のある本でした。 ルシファー・エフェクト ふつうの人が悪魔に変わるとき作者: フィリップ・ジンバルドー,Philip Zimbard…

モノとして認識される人:『Dehumanizing the Lowest of the Low』

直訳すると『下の下の非人間化』、意訳すると『最低な人は人であらず』といったところでしょうか。 何かの本(たしか『〈わたし〉はどこにあるのか: ガザニガ脳科学講義』)で紹介されていて、気になっていた論文を読んでみた内容のメモです。 興味を持った…

この世に悪があるとすれば、それは無知だ:『無限の始まり』

人間が持つ、知識を創り出す「創造力」の可能性を限りなく前向きに捉えた著者の情熱を感じる超大作(600ページ以上)でした。 無限の始まり:ひとはなぜ限りない可能性をもつのか作者: デイヴィッド・ドイッチュ,熊谷玲美,田沢恭子,松井信彦出版社/メーカー: …

お前の信じるお前を疑え:『Predictably Irrational: The Hidden Forces that Shape Our Decisions』

『予想どおりに不合理』の原著です。以前に訳書を読んだことはあったものの、Amazon のおすすめリストに現れたのをきっかけに、記憶のリフレッシュのために原書を読んでみました。Kindle 版で 550円(購入時)という安さも魅力的。 Predictably Irrational: …

歴史などたわごとだ:『すばらしい新世界』

幸福と安定のために自由と科学、芸術、歴史、宗教、その他諸々を犠牲にして徹底的な階級社会を作った文明を描いたディストピア小説。これが1932年に書かれた作品とは。。。噂に違わぬ名著でした。 日本語訳も不自然に感じる部分がなく、とても読みやすかった…

AI との対決を通して人間らしさを考える:『機械より人間らしく慣れるか?』

チューリングテストの大会*1にサクラ役として参加することになった著者が、「人間らしさとは」という問に対して考えたこと・調べたことをまとめた本です。 チューリングテストに関係あることないこと含めて多様なトピックに話が飛ぶので「チューリングテスト…

能力は育てるもの:『Mindset: How You Can Fulfil Your Potential』

「人の能力は生まれつき決まっているもの」と考える Fixed-Mindset と、「人の能力は経験、訓練を通して伸ばせるもの」と考える Growth-Mindset の2つの Mindset の対比がこの本のテーマです。 各々の考え方を持つ人が様々な困難な状況にどのように対応する…

人は弱いもの:『The Road to Character』

ビル・ゲイツ氏の2015年のおすすめの本 の一冊。 昨今の行き過ぎた「あなたは特別です、自分を信じて自分のやりたいことをやろう!」という風潮に警鐘をならし、謙虚さ自制心、周りへの敬意の重要さを説く本です。 ちょうど年始で、「自分」に関する目標を「…

実は身近な量子の世界 :『量子力学で生命の謎を解く』

原題は『Life on the Edge』というのですが、カッコいいタイトルですね!私たち生命は古典物理学と量子力学との堺を跨いで維持されている、という主題にも合っていてとてもクールです。 (邦題のシンプルなわかりやすさも、これはこれでとても好印象です。)…

岩田社長にみる全体最適化ゲームとしての人生:やりたい事 vs やるべき事

岩田社長がこれほど尊敬される社長である理由は、その能力の高さはもとより、自分の人生と世界を"全体"最適化問題として捉えていたからなのかなーと、今回の【岩田 聡氏 追悼企画】を読んで思ったので、将来の自分のためにメモ。 www.4gamer.net 以下の石原…

意図を持って設計しよう:『売れるゲームの UI/UX 制作現場の舞台裏』

扱っている一つ一つのゲームに対する説明が丁寧で、「よく考えられて作られているなー」と関心、納得できるものでした。製品版の UI/UX だけでなく、そこに至るまでの初期構想や過程も紹介されているので、どういう意図で最終的にそうしたのかということが明…

善悪は直感で決まり、理屈は後からついてくる:『〈わたし〉はどこにあるのか: ガザニガ脳科学講義』

脳が意識をつくり、脳が物理法則に従うのであれば、自由意志とは幻想なのではないか…、というよくある(?)疑問に対して、多くの科学的な研究を挙げて「今までにわかっていること」と「まだわかっていないこと」を幅広く解説した良書でした。 また、個人レ…

アーティストじゃなくても読めた:『Unreal Engine 4 マテリアルデザイン入門』

インストールした後ちょっと遊んで放置していた Unreal Engine を再び触り始めました。で、再開に際して今までよくわかっていなかったマテリアルというものについて学んでみようとこの本を手にとったわけですが、非常に良かったです。 UnrealEngine4マテリア…

オーディオブック @ Audible で聴いたもの・オススメのもの・聴くつもりのもの

プライム会員は3ヶ月お試し無料に誘われて Audible.co.jp を試してみました。 『HARD THINGS』や『ジョナサン・アイブ』など、「無料なら聴いてみたい」と思った本が往々にして要約版だったこともあり、第一印象は「ラインナップ微妙かな…」でしたが、アル…

Kindle オーナーライブラリーで読んだ本・おすすめの本のまとめ:2017年1月更新

おすすめ度 + 一言コメントくらいの情報量で記載しています。詳細については Amazon の商品紹介ページを御覧ください。 特にオススメのものには見出しに ★ マークをつけています。 Kindle オーナーライブラリーで借りたい本が思いつかない時の参考などにどう…

キメラ動物と臓器工場の是非:『生命の未来を変えた男 山中伸弥・iPS細胞革命』

今回取り上げる本は『生命の未来を変えた男 山中伸弥・iPS細胞革命』です。 山中伸弥教授の伝記のように感じるタイトルではありますが、内容の主題はむしろ『iPS細胞革命』で、iPS細胞の研究を中心とした医療技術革新がもたらす未来の医療の可能性とそれに伴…

最多の細胞いえますか?:『人体 ミクロの大冒険 60兆の細胞が紡ぐ人生』

今回取り上げる本は、NHKスペシャル『人体 ミクロの大冒険』の書籍版、『人体 ミクロの大冒険 60兆の細胞が紡ぐ人生 (角川書店単行本)』です(最多の細胞の正解はこちら*1)。 内容紹介引用 一言感想 内容の一部紹介 妊娠中に母親が痩せていると子供は太り…

読書メモ:『新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング』

事実ベースの文章をスムーズに書けるようになるための優れた教本だと思いました。 「良い文章とは完読される文章である」と最初に定義してあることで、はっきりとした目的意識と納得感を持って説明を読み進めることができます。 書く前の準備や推敲、ブラッ…

読書メモ:『陽気なギャングは三つ数えろ』

陽気なギャングシリーズ9年ぶりの新作です。Amazon のランキングで見かけて、嬉しい驚きに惹かれて衝動買いしてしまいました。 敵役のクズ度が高いのに引っ張られて「陽気なギャング」にしては少し暗い気持ちになったりもしましたが、それでも最後にはなん…

読書メモ:『2001: A Space Odyssey (English Edition)』

『2001年宇宙の旅』ですね。まさかこれほどの有名作品の原著が Kindle オーナーライブラリにあるとは。 今まで、タイトルと HAL という AI(?) の存在くらいは知っていたものの、読んだことも映画を見たこともなかったので、無料で読める機会を利用して読んで…

読書メモ:『NHK「100分de名著」ブックス フランクル 夜と霧』

人生に何を期待できるか、ではなく、(自分の)人生に何が期待されているかを考えよう という言葉に尽きるのかなと。 「人生とはこうあるべきだ」というように、一般的な概念としての人生に期待できるものを求めるのではなく、今自分に与えられた人生から何…

読書メモ:『The Man Who Mistook His Wife for a Hat』

日本語版は『妻を帽子とまちがえた男 (ハヤカワ文庫NF)』 脳障害を持った患者のエピソード集。 脳の不思議さ・複雑さを思い知ることできます。結構昔の本なのですが、それぞれの症状の人間的な側面に光が当てられているので古さは感じませんでした。 原著で…

読書メモ:『意識はいつ生まれるのか』

「意識とは何か、どうすれば測れるのか?」という謎に対して 意識に関して唯一、真に有望な基礎理論 とされる統合情報理論扱って迫るポピュラー・サイエンス本。 興味深い題材がとても読みやすく書かれており、楽しめました。 人体というのは本当に面白いな…

読書メモ:『代替医療のトリック』

3ポイントメモ 代表的な代替医療である鍼、ホメオパシー、カイロプラクティック、ハーブ療法の4つについて、プラシーボ効果以上の効果はないと言ってほぼ間違いない 効果がない、と証明されているものがほとんどであり、効果があると実証されているものは皆…