not yet

本やゲームの感想など

読書

小説感想:『ささやく真実』

コンパクトで読みやすく、無駄のないフーダニットもの。 最後の犯人を追い詰めるための仕掛けについては都合が良すぎる印象を受けましたが、犯人の絞り込みに用いられた手掛かりは自体は明確で「よく考えればそうじゃん!」と納得できるものでした。 被害者…

人類あるいは全ての生物の起源:『生命、エネルギー、進化』

生命・細胞がどこで、どのようなプロセスで発生したのか、という命の起源の問題に対する答えから始まり、その説を元にすれば有性生殖はなぜ生み出されたのか、老化と死はなぜ避けられないのか、という現代の生物が持つ特徴を導き出せる、ということを示す。…

【38冊】2017年1月~3月に読んだ本の振り返り

ブログに記載していないものも含めて、1月~3月に読んだ本は計38冊(1月10冊、2月13冊、3月15冊)でした。 この間に読んだ特に面白かった本を採りあげた後、今期の反省と次期 3ヶ月の目標について書き留めます。 ベスト5 1位:フードトラップ 2位:恐怖の哲学…

本当の問題を探すには:『ライト、ついてますか―問題発見の人間学』

上司に「プログラミング関係でオススメの本」として幾つか挙げていただいた内の一冊。 とはいえプログラミングの話は例として挙げられる程度で、内容自体は万人向け。 軽快な口語体で、フィクションのエピソードをベースに、解くべき問題そのものについて考…

小説感想:『ハルビン・カフェ』

文庫で約600ページの長編小説。第5回(2003年)大藪春彦賞受賞。 警察、公安、中国・朝鮮・ロシアのマフィア、そして「P」が織りなす複雑な組織・人間関係が背景に、過去の事件の復讐のために幕を開けた最後の事件の操作を通してテロ組織を導いた男に迫って…

書評:『ゼロから作るDeep Learning ―Pythonで学ぶディープラーニングの理論と実装』

タイトルに偽りなしでした。 ディープラーニングの各要素技術についての理論を説明した後、Python + NumPy (行列計算等に利用)+ Matplotlib(結果の可視化に利用)を用いて実際に実装してみる、ということを繰り返して、手書き文字(数字)認識の精度を高め…

小説感想:『犯罪』

2012年本屋大賞「翻訳小説部門」第1位の短編集。 犯罪事件の物理的な謎の解明ではなく、罪を犯すに至るまでの犯罪者の心理描写に重きが置かれている。 飛び抜けてこれが良い、と言う短編は特になかったが、一貫として淡々とした文体で全体を通して読みやす…

書評:『Pythonクローリング&スクレイピング -データ収集・解析のための実践開発ガイド-』

wget + sed を使ったクローリング&スクレイピングのコンセプトの紹介に始まり、クローリング先の Web サイトに迷惑を欠けないための配慮(クローリング間隔の設定、robots.txt の解釈など)やデータベースへの保存など周辺知識についての説明も交えながら数…

イノベーションではない:『イノベーション・オブ・ライフ』

『イノベーションのジレンマ』などの著書を持つ、ハーバード・ビジネス・スクールの教授の人生訓に関する本。 その有名な書籍にちなんでの邦題だと思うのですが、さすがに内容と関係なさすぎるでは…。『イノベーション・オブ・ライフ』をあえてさらに訳すと…

地頭でもなく論理的思考力でもなく:『採用基準』

「リーダーシップを持ち、問題を自分でコントロールし解決に導くという姿勢が何よりも重要である」というお話。リーダーシップという言葉に抵抗があれば「結果に対する当事者意識」と言い換えても良いかもしれません。 リーダーシップの重要性、リーダーがな…

成果 ÷ 投入リソース =:『生産性』

※ だいぶ流し読みです。 個人的な活動に応用できる範囲はもちろんがありますが、組織のマネージメントや人材育成に関する話が主題です。 前著『採用基準』で「個人の資質」としてリーダーシップが重要であると主張されていたのに対し、本著では「組織の指標…

著名思想家4人によるディベートの結果は:『人類は絶滅を逃れられるのか』

「人類の未来は明るいか」というテーマについて、肯定派にスティーブン・ピンカー(「暴力の人類史」などの著者)とマット・リドレー(「繁栄」などの著者)、否定派にマルコム・グラッドウェル(「天才!」などの著者)とアラン・ド・ボトン(「旅する哲学…

プレゼン Tips 集:『新エバンジェリスト養成講座』

サブタイトル(Tips for Presentation)を見ずに、マイクロソフトの人が書いた、とだけ知っていて「ユーザーに自社製品のエバンジェリストになってもらうためにどういう製品・サービスを作るかの話かな」と思っていたら全然違いました(笑)。 せっかくなの…

全ては喜びのために:『ジョイ・インク 役職も部署もない全員主役のマネジメント』

方法論としてはいわゆる「アジャイル」に属するもので、今では(実際に導入している企業の多さはさておき)それ自体は特に目新しいものではありませんが、その目的をただ「成果を出す」、「生産性を上げる」で止めずに「顧客や従業員の幸せのため」と位置づ…

WORLD ORDER:『国際秩序』

柔軟な多国間関係による自律的なパワーバランス調整と、他国の権力の正当性との折り合いの付け方(例えばイスラム教的な教義では最終的にはイスラムによる世界統一が目標になるため他国の存在そのものが正当ではないとされるが、そのような考え方と現実的に…

「客観的」という幻想:『ナンバーセンス ビッグデータの嘘を見抜く「統計リテラシー」の身につけ方』

政府や企業が「(ビッグ)データによって客観的な事実が得られた」と言うとき、それを鵜呑みにしてはならない。同様の理由で「何とかランキング」にも注意すべきである。 データの収集、解釈、提示、どのステップにも誰かの意図が混入する。ここでの「客観的…

小説感想:『百年の孤独』

なんと言えばいいのか…。 正直なところ、面白くはなかったです。つまらなかったかというとそれも何か違う感想な気はするのですが、シンプルにストーリーを楽しめたということはなく、独特の雰囲気を感じることができた、という印象です。 村上春樹を読んで「…

秩序はデザインによってではなく進化によって生まれる:『進化は万能である:人類・テクノロジー・宇宙の未来』

生物のみならず、科学・道徳・経済・宗教など人が生み出したありとあらゆるものが、「進化」という変化と淘汰を繰り返す試行錯誤のプロセスを経て今に至る。このボトムアップ的な力を認め、受け入れるべきである。 歴史が一人の偉人の力によって動かされ、世…

思い出しライトは作れるか:『脳はなぜ都合よく記憶するのか』

ありもしなかったことの記憶が創作され確信される仕組み、被験者に偽の記憶を植え付ける方法などを提示しながら、記憶を事実として信用すべきでない理由を明らかにしている。 その根底にあるのは「記憶は(記憶されたその瞬間から)完全ではない」という単純…

失敗なくして進歩なし:『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』

失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織作者: マシュー・サイド,有枝春出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン発売日: 2016/12/23メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る 失敗から学ぶ組織(業界)の主要な例…

「言葉にできない」は「考えていない」と同じ:『「言葉にできる」は武器になる。』

タイトルに強く同意したので、何冊目かはわからない「この手の本」を読了。 内容自体は類似のこの手の本とさほど変わりはなく、1時間強で読めてしまって 1500円 なのであまりコスパは高くない(コスパを「内容の量/金額」で計算するならば)が、さすがに文章…

ゲーム AI の現在と未来:『人工知能の作り方 ――「おもしろい」ゲームAIはいかにして動くのか』

身体を持つキャラクターが自身を動かし世界とインタラクションするための AI、チーム・群衆をコントロールする AI など、画像認識や音声認識といった狭い範囲での AI の例に留まらず、ゲーム内世界の実現や人間的なロボットに必要な幅広い範囲のトピックを扱…

技術で人と社会を豊かに:『ウェルビーイングの設計論-人がよりよく生きるための情報技術』

人の生活をより良くすることを意識して製品・サービスを作成するために必要な知識をまとめた本。 カバーしている範囲が多岐に渡るので、取っ掛かり、リファレンスとしては役に立つかもしれない。情報が整理されて並べている反面、作者の主張や熱意を感じるタ…

「怖い感じ」とは何か:『恐怖の哲学―ホラーで人間を読む』

「ホラー作品はなぜ娯楽として成立しているのか」など恐怖を主題とはしているが、それはあくまで具体例。 そもそも「感じ」や「情動」とは何で、どういう役割を果たしているのか、というもっと広い疑問を、生物学、脳科学を採り上げて解説していたため、ホラ…

小説感想:『ダンガンロンパ霧切 3・4』

密室十二宮編。まさか 3, 4巻でも終わらず 5巻に続くとは。 3巻 トリックの机上の空論っぽさがダントツ。いや、本当に上手くいくのかもしれないけれど、手間とリスクが大きすぎるというか、もっとシンプルでいいよねっていう。まぁキャラ物小説だからその辺…

EQ:『Emotional Intelligence』

Google発のマインドフルネス解説書として有名な『サーチ・インサイド・ユアセルフ』の参考文献の筆頭に挙げられている本。 Emotional Intelligence: 10th Anniversary Edition; Why It Can Matter More Than IQ作者: Daniel Goleman出版社/メーカー: Bantam…

余裕は贅沢ではなく必需品:『いつも「時間がない」あなたに: 欠乏の行動経済学』

時間や金銭に余裕がないという状況は、それ自体が認知能力を低下させて状況をより悪化させかねないということを様々な実験を通して明らかにし、余裕(=スラック)を持つことの大切さを解く本。 いつも「時間がない」あなたに: 欠乏の行動経済学 (ハヤカワ・…

微生物も積もれば巨人となる:『見えない巨人―微生物』

微生物に関してはほとんど何も知らず、せいぜい細菌のイメージが先行してなんとなく良い印象は持っていないという程度だったのですが、本書で微生物の多様性と有用性を窺うことができました。まさに「知らなかったことを知る」ことができて大変満足です。 本…

小説感想:『戦場のコックたち』

青春ミステリという紹介をみましたが、青春という言葉から連想するような爽やかさからは遠く、ミステリ要素もあくまで(良い)味付けで、全体としては「戦争もの」。 戦争の描写はしっかりと厳しく、コックとして戦争に参加した主人公もいつの間にか戦闘に慣…

皮膚がふやける理由:『触れることの科学: なぜ感じるのか どう感じるのか』

触覚に関する身近な様々な疑問に対して、今までに解明されている脳や神経といった解剖学的な仕組みから科学的に説明していて、読みやすく面白かったです。 触れることの科学: なぜ感じるのか どう感じるのか作者: デイヴィッド・J.リンデン,David J. Linden,…