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本やゲームの感想など

心理学

正しいお金の使い方について:「幸せをお金で買う」5つの授業

何かの動画で同じような話題について見たことはあったのですが、そろそろ来年の目標なり計画なりを決める時期なので、せっかくなので何かの参考にと読んでみました。 「幸せをお金で買う」5つの授業 (中経出版)作者: エリザベス・ダン,マイケル・ノートン,…

無意識を意識する:『「誘う」ブランド - 脳が無意識に選択する。心に入り込むブランド構築法』

著者が「ブランド・ファンタジー」と呼ぶ、意識的・無意識的にブランドと結びつく連想、印象に目を向けてブランディングをしていくべき、という話。 「誘う」ブランド - 脳が無意識に選択する。心に入り込むブランド構築法作者: ダリル・ウェーバー,手嶋由美…

本当の問題を探すには:『ライト、ついてますか―問題発見の人間学』

上司に「プログラミング関係でオススメの本」として幾つか挙げていただいた内の一冊。 とはいえプログラミングの話は例として挙げられる程度で、内容自体は万人向け。 軽快な口語体で、フィクションのエピソードをベースに、解くべき問題そのものについて考…

技術で人と社会を豊かに:『ウェルビーイングの設計論-人がよりよく生きるための情報技術』

人の生活をより良くすることを意識して製品・サービスを作成するために必要な知識をまとめた本。 カバーしている範囲が多岐に渡るので、取っ掛かり、リファレンスとしては役に立つかもしれない。情報が整理されて並べている反面、作者の主張や熱意を感じるタ…

「怖い感じ」とは何か:『恐怖の哲学―ホラーで人間を読む』

「ホラー作品はなぜ娯楽として成立しているのか」など恐怖を主題とはしているが、それはあくまで具体例。 そもそも「感じ」や「情動」とは何で、どういう役割を果たしているのか、というもっと広い疑問を、生物学、脳科学を採り上げて解説していたため、ホラ…

EQ:『Emotional Intelligence』

Google発のマインドフルネス解説書として有名な『サーチ・インサイド・ユアセルフ』の参考文献の筆頭に挙げられている本。 Emotional Intelligence: 10th Anniversary Edition; Why It Can Matter More Than IQ作者: Daniel Goleman出版社/メーカー: Bantam…

道徳が嫌いな方に:『社会はなぜ左と右にわかれるのか――対立を超えるための道徳心理学』

満足度:★★★★★ 私は小学校のころは道徳の授業が嫌いでした。 …ということは特にない(*1)のですが、「道徳」と聞くとちょっと身構えてしまいますね。胡散臭いというか、宗教感があるというか、思想統制のにおいがするというか。 社会はなぜ左と右にわかれる…

2ドルで親の魂売りませんか?:直感と合理性について

「私 (あなたの名前) は、死んだら、スコット・マーフィー(*1)に魂を2ドルで売り渡すことを約束します」 こんな用紙を渡されて、サインしたら本当に2ドル貰える場合、あなたはサインしますか? これは『社会はなぜ左と右にわかれるのか――対立を超えるた…

悪魔を生み出す簡単な方法とは:『ルシファー・エフェクト ふつうの人が悪魔に変わるとき』

満足度:★★★★★ かの有名なスタンフォード監獄実験の詳細について、準備から実施、そして振り返りまでまとまった形で読めただけでも価値のある本でした。 ルシファー・エフェクト ふつうの人が悪魔に変わるとき作者: フィリップ・ジンバルドー,Philip Zimbard…

モノとして認識される人:『Dehumanizing the Lowest of the Low』

直訳すると『下の下の非人間化』、意訳すると『最低な人は人であらず』といったところでしょうか。 何かの本(たしか『〈わたし〉はどこにあるのか: ガザニガ脳科学講義』)で紹介されていて、気になっていた論文を読んでみた内容のメモです。 興味を持った…

善悪は直感で決まり、理屈は後からついてくる:『〈わたし〉はどこにあるのか: ガザニガ脳科学講義』

脳が意識をつくり、脳が物理法則に従うのであれば、自由意志とは幻想なのではないか…、というよくある(?)疑問に対して、多くの科学的な研究を挙げて「今までにわかっていること」と「まだわかっていないこと」を幅広く解説した良書でした。 また、個人レ…

読書メモ:『NHK「100分de名著」ブックス フランクル 夜と霧』

人生に何を期待できるか、ではなく、(自分の)人生に何が期待されているかを考えよう という言葉に尽きるのかなと。 「人生とはこうあるべきだ」というように、一般的な概念としての人生に期待できるものを求めるのではなく、今自分に与えられた人生から何…

書評:『Reality is Broken』(幸せな未来は「ゲーム」が創る)

3行まとめ 現実はゲームのように、明確で自分の能力に合った目標とその達成のための手順を与えてくれることがなく、即応的なフィードバックや分かりやすい報酬にも欠けているので、取り組みにくい 逆に、ゲームのそのような仕組みを現実に取り入れることで、…

そして誰も責められなくなった:豊かな人ほど自殺する理由

『0ベース思考』を読んでいて知った自殺に関する理論なのですが、興味深かったので書評とは別にメモを。 証明や検証はされていない、アイディアレベルの考えとのことですが、 どんなに不幸でも、政府であれ経済であれ、何かのせいにできれば、それが免疫と…

Not Invented Here 症候群 : お前のアイディアがそんなに優れているはずがない

『コピーキャット―模倣者こそがイノベーションを起こす』という本を読んで知った NIH症候群について、その影響を調査した論文を読んでみたのでそのまとめです。 edx.hatenablog.com そもそも Not Invented Here 症候群とは 研究開発プロジェクトにおける NIH…

勝利と成功の違い:成功とは、全力を尽くしたという実感から得られる心の平穏である

新年度が始まったので、お気に入りの、やる気を上げるための TED を見直しました。今回はその紹介です。 この人は・このトークは このトークのスピーカーは John Wooden (ジョン・ウッドンもしくはウッデン)さん。スポーツの歴史の中で最も尊敬されている…

全員の給料が増えても平均幸福度は上がらない

え、皆が豊かになれば皆幸せになるのでは?という方に簡単な質問を。 皆の収入が変わらぬまま、あなたの収入が増えたらあなたはどう感じるでしょう? あなたの収入が変わらぬまま、皆の収入が増えたらあなたはどう感じるでしょう? 後者を想像したとき、自分…

嘘の見分け方:Cues to Deception と Self-Presentational Perspective

『Cues to Deception』という、嘘を付いているかどうかを見分けるための手がかりについての論文を読みました。 この記事では、ある手がかり(声のトーン、体の動きなど)が、なぜ嘘を付いているかどうか見分けられるのに役に立つと考えられるのか、その背景…

幸せの測り方:Happiness is Everything ?

『Happiness Is Everything, or Is It? Explorations on the Meaning of Psychological Well-Being』という論文を読んだのでその内容のまとめと紹介です。 前回の「選択」に関する記事につづいて、こちらもかなり古く1989年の論文です。 「現在」や「今まで…

人の選択は必ずしも合理的ではないよ、でもその非合理性にはパターンがあるよ、という話

「The Framing of Decisions and the Psychology of Choice」という論文を読んでみたので、それについての内容のまとめ兼紹介です。 『予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』という本が数年前に有名になったので、タイトルの内…